謎夢少女、真相ヲ探。(第六話)
次の日、私はこの町で1番大きい図書館に向かった。
とはいえ私の町はそうそう大きい町ではない為、都会の人たちが見たらぼちぼちの大きさの図書館である。
私はその図書館のカウンターに座っている職員に
「ここに当時の新聞を保管しているファイルかなんかありますか?ざっと50年ほど前の記事とかだったり、、」
と聞いてみたところどうやらあるそうだ。
職員に連れられて少し薄暗いところにその新聞をまとめたファイルが50冊ほどボロボロの本棚に並べられていた。
やはり50年前の新聞を見る人なんぞいなかったのだろうか。
ファイルの上が埃でいっぱいだった。
かなり積もっていてファイルの上を指でなぞってみると、私の人差し指は一瞬にして灰色と化し、なぞったところは綺麗な線になっていた。
私は何冊もある中から一つ一つ確認し、50年前の新聞が入っているファイルを発見した。
それを脇に抱え先ほどのカウンターがあったところに戻り、そこにあった椅子に座りながら関連性がありそうな記事をひたすら探した。
しかし、どれだけ探しても、それらしき記事は1つも無かった。
もしかしてあの2人は私を揶揄ったのか、?いやいや、でもそんなわけない。明らかにあの表情、行動は嘘じゃない。じゃあなんで記事がないんだ?あの管理人の男性の言ったことが確かなら、あそこで起きた監禁事件は必ずニュースになるはずだ。逆にいえば、ニュースにならないわけがない。でもなぜだ。なぜ無い。その新聞記事が。
私は一つの結論に辿り着いた。
「誰かがその新聞記事を抜いた。」
ということだ。
確かに振り返ってみれば、私がとったファイルだけ埃のつもりが深く無かったように感じた。
もしかしたら私より先に誰かが手に取った、、?
そう感じ、私はそのファイルをもう一度細かく読み直した。
そしてあることに気がついた。
12月19日の新聞だけが無いのだ。
他のページを見ても、間違えて入ってるということもなかった。
やはり誰かが抜いたのか。
日頃新聞などの文字を読む習慣が全くない私の体力も限界に達していた。
うっかりしてしまった私はファイルを膝から落としてしまった。
拾おうとした時、とあるものを発見した。
何やら新聞と新聞の間に何かの切れ端が挟まっていることに気がついた。
私はそれを抜き取り、読んだ。
今からその内容をここに記すが、地名や名前は伏す。
(1968年12月19日 静岡県○○市の古民家にて、当時18歳の女子高校生を監禁、殺害した疑いで、T容疑者が逮捕された。警察によると、古民家は2階建てで、その一部屋の中に殺害された当時18歳の女子高校生が無惨な姿で収まった棺桶のようなものがあったそうだ。警察はT容疑者への取り調べを進めている。)
1968年は現在(2024年)から逆算すると56年前。
静岡県○○市は私の高校があり、そしてなにより、あの例の古民家がある場所だ。
それに加え、古民家の中には棺桶があった。
まさにあの夢の通りなのである。
私は恐怖で手が震えた。
あの夢はただの夢じゃない。
そう強く確信した。
しかしあの12月19日という日付。
どこかで聞き覚えがある日付だった気がした。
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