キャラストーリー
アイビーの話・永久凍結、非展開の青春
ねぇ、あなたは何をしてる時が生きてるって実感する? 私はね、起きてる時。起きてる時が一番幸せだし、生きてる気がする。
寝てる時が幸せ? 嫌なこともない? 私にはわかんないなー。だって、自力で起きることができなかったんだもの。
眠りは私を外に出させないための病という名の檻。檻の外は、光に満ち溢れている。何を話してるか分からない人たち、いろんな顔が見える。嬉しそうな顔、不機嫌な顔、悲しそうな顔、楽しそうな顔。鏡に映る私は、どの顔でもない。言葉にできない顔。
看護婦さんは、いつも買い物話とか、悪口で盛り上がってる。お医者さんは、奥さんの話で盛り上がってる。
私は? とりあえず、勉強とかネットの交流とか話してみる? でも、誰もそんな話しないよね。パパとママは、面会に来る時無理に笑おうとしてる。苦しそうなのに、それは私のせいなのに。元気でいないといけない。元気がなくても笑わないといけない。パパとママ、看護婦さん達を元気な姿で喜ばせないと。
ねぇ、神様。いつまでこんなことしないといけないの? いつになったら、体が軽くなるの?
「鈴? 大丈夫!? 鈴!!」
元気な姿、最後まで見せられなかったじゃん。パパとママと看護婦さん達の努力を、「死」が無駄にした。本当、神様なんか……。
「お嬢様、今日の予定は……」
煌びやかで、ふんわりとして、冷たくて、息がたまに詰まる。私が欲しいのは、綺麗なものじゃ無い。ただ、触れ合う時間だけ。
私を治すお金なんて要らなかった。裕福な家庭じゃなくてもよかった。ただ、お話したり、笑い合うだけで……。
神様、もしかして、私を病気にさせて放置した罪悪感があるの? それでバツが悪くてこんなことしたの? こんなことして何が楽しいの? その前の前世の私に恨みがあるとか?
私、あんたらの考えてることが、まるで理解できない。嫌なことだって分かるなら、なんで病気なんて植え付けたの?
どうして、幸せを見せたの?
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