第7話
「映画サークルとか良くない?」
「あ、いいね。向こうのキャンパスの時なかったもんね」
茉莉は自ら積極的にビラをもらいに行っては走ってこちらに戻ってくる。
もともと都会育ちということもあってお洒落で可愛い彼女はビラを奪いに行った先で連絡先を聞かれては、私を指差して、私まで引き摺り込もうとする。
『大学生なんて遊んでなんぼじゃん?』という茉莉の持論は、いわゆる恋愛脳から成り立っている。
一方、高校が女子校だった私は、そこまでイケイケの男の子に免疫があるわけではない。
挙句、もともと表情筋がうまく動かないのも相まって遭遇した男性ほぼ全員に「クールだね」と気を使われる始末だ。
そんな動静コンビの茉莉と私は、結局、映画サークルに的を絞り、その日の夕方から駅近くの居酒屋で開催されるという新入生歓迎会に参加することにした。
✳︎
「なんかやたらと女子多くない? しかもたぶん1年の」
「確かに」
居酒屋の座敷を貸し切って行われた映画サークルの新歓は、学生ノリ身内ノリ全開の、側から見たら痛すぎる会だった。
と言ってもそう思っているのはおそらく洋だけで、周りは飲み食いとおしゃべりに忙しくとても楽しそうだ。
茉莉も良い男はいないと見切りを付けたものの、卒業単位のために楽単の情報収集へと早々に切り替えては楽しんでいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます