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第6話
「天体サークルだって。洋、どうする?」
「私、そんなに目良くないからなあ」
「気にするのそこなんだ」
勧誘のチラシを手に、洋の隣でけらけら笑うのは同じ文学部の
1年の割と初期からの仲で、前のキャンパスでも同じ読書サークルに入っていた。
本来であれば洋も茉莉も読書サークルのままだが、読書サークルの代表たちが洋たちと違うキャンパス移動になり、サークルはそちらで引き継がれてしまったのだ。
そちらに通うことも可能だけれど、正直、サークルのためだけに他のキャンパスに足を赴くのは私も茉莉も面倒だった。
ということで、今は新入生に混じって新しいサークル探しだ。
「こっちは読書サークルとかないんだね。漫画研究会ならあるよ。私も洋も漫画読まないけど入る?」
陽気な茉莉の笑いに釣られて洋も小さく笑う。
4月の大学といえばサークルのビラ配りが風物詩である。
いつもは侘しい掲示板に所狭しとサークルのビラが貼られ、ゴールデンウィーク明けは人がどっと減るキャンパスも今は、人、人、人で混み合っていた。
そんななかでも学生なりの嗅覚で、新入生と他学年の見分けはつくらしく、勧誘者たちは器用にピカピカ1年生にだけ狙いを定めている。
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