第5話
無意味に歩き出し、お店の縦掛札をOPENに切り替えて店内に戻っていく店員さんに吸い込まれるようにそのバーへ行き、バーカウンターに座り、
「どゆこと……?」
泣いた。ぼろぼろと泣いた。
お酒はさして強くない。カクテル2杯呑めばハイになれる。
けれど今日だけは5杯呑んでも涙が零れるだけだった。
時間が経つに連れて人の声が増えては減ってを繰り返す店内の一番隅で、私は泣きながら呑んでいた。
疫病神扱いなのか、私の隣は、その隣まで空席になり続けていた。
「これと同じの」
そんな声がすぐ隣で聴こえてきたのは、7杯目のお酒が半分に達した頃だった。
男は私の酒を指さしながら、バーテンダーに注文する。
暖色の照明だけの空間は暗がりで、男の白い肌と淡く赤紫ぽい髪色が異様に目立った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます