5日目

4月5日

朝から久しぶりの快晴。雨で湿った空気が、太陽の光で浄化されたように感じられた。今日は1限目から授業があったけれど、陽気のおかげで気分が少し軽くなった。友達と話しながら大学へ向かう途中、近くのパン屋さんの焼きたてクロワッサンの香りに誘われて、朝食代わりに一つ買った。こういう日常の小さな贅沢が、最近の楽しみの一つになっている。


授業は順調に進み、午後にはサークルのメンバーと次回のイベントについて話し合った。夏休みに向けて少し大きな企画を立てようということになり、みんなでアイデアを出し合った。中にはちょっと突飛な提案もあったけれど、みんな楽しそうに議論していて、こういう時間が好きだなと改めて思った。


夕方、大学を出たところで、また赤いワンピースの女性を見かけた。今度は大学の正門のすぐ近くだった。信号待ちをしているふりをしていたけれど、明らかにこちらを見ているのが分かった。昨日よりもずっと近くに感じるし、その視線が妙に重たく感じられた。


思い切ってしっかり顔を見ようとしたけれど、ふいに人混みに紛れて姿を消してしまった。偶然にしては頻繁すぎるし、どうしてこんなに気になるのか自分でも分からない。友達に相談しようかとも思ったけれど、なんとなく言葉にするのが怖かった。もし話したら、その存在がより現実味を帯びてしまう気がしたからだ。


帰宅してからも、その女性の姿が頭から離れなかった。寝る前に窓の外をそっと覗いてみたけれど、当然ながら誰もいなかった。ただ、その静けさが余計に心をざわつかせた。こんな気持ちになるなんて思ってもみなかったけれど、明日は平穏でありますように、と祈るような気持ちで眠りについた。

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