4日目

4月4日

今日は朝から雨。窓を叩く雨音が心地よくて、少しゆっくり起きた。大学に行く準備をしていると、ふと部屋の鏡に映る自分が少し疲れて見えたのに気づいた。新しい生活が始まったばかりで、きっとまだ体が慣れていないんだろうな。でも、今日は午後から友達と授業のあとにカフェに行く予定があったので、それを楽しみに頑張ることにした。


午前中の講義は少し難しかったけれど、教授の言葉がいくつか心に残った。「日常の小さな違和感や問いに目を向けることが、知識の扉を開く鍵だよ」と話していた。それを聞いて、最近の日常の中で違和感を感じたことを思い返してみたけれど、特に思い当たらなかった――はず。でも、どこか引っかかる感覚だけが残った。


授業が終わった後、友達と約束通り大学近くのカフェに行った。小さな店で、木の温もりを感じる内装が素敵だった。友達が頼んだ季節限定のストロベリースムージーがとても美味しそうだったので、次回来たときはそれにしようと思った。話の内容は他愛もないことばかりだったけれど、そんな何気ない時間がとても心地よかった。


帰り道、ふと見かけたのが、また赤いワンピースの女性だった。今度は駅のホームの向かい側に立っていて、昨日よりもはっきりとその姿が見えた。長い黒髪がしっとりと雨に濡れていて、目を伏せた表情がどこか哀しげに見えた。その瞬間、目が合ったような気がして思わず視線を逸らしてしまった。


電車が到着するアナウンスが流れると同時に、女性の姿は見えなくなっていた。まるでそこに最初からいなかったかのように。そのことを友達に話そうか迷ったけれど、なんとなく気まずくて口を閉じた。きっと偶然なんだ。そう自分に言い聞かせたけれど、心の奥底で小さな不安が膨らんでいくのを感じた。

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