6日目

4月6日

今日はいつもと変わらない1日だった……はず。でも、赤いワンピースの女性が忘れられない。夕方、帰り道で彼女をまた見かけた。今度は私の目の前、数メートル先に立っていた。顔をはっきりと見たわけじゃないのに、その視線だけは感じた。胸がざわざわして、無意識に足が速くなった。


夜、部屋に戻ってリラックスしようとしても、なぜか気が休まらなかった。心のどこかで、彼女がすぐ近くにいる気がしてならない。そんなときだった。ドン、ドン、と扉をノックする音が聞こえた。時計を見ると、もう深夜近くだったはず。こんな時間に誰が――?


心臓が跳ねる音が聞こえそうなくらい高鳴ったけれど、足が動かない。ノックはまた繰り返されて、そして――静かになった。

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