第2話 やっぱり落ち着かない...
波乱のシェアハウスが幕をあげた夜、
「んじゃあ!颯くんの部屋はここだから、あとはゆっくりしててね!」
俺の部屋は、2階の奥の部屋にある。
うーん、やっぱり落ち着かない。
そりゃそうだ。メンバーが男だと思っていたら、みんな女子だったんだから。
「こんな時は、ゲームだな」
俺は持ってきたゲーム機を机に置いて、電源をつけた。
俺の趣味は、ゲームをやることで休みの日には外には行かず、
ずっと家の中でゲームをしている。
ジャンル問わず、どのゲームも好きだが(クソゲー含めて)、
特にバトルゲームが得意だ。(ちなみに無課金勢)。
「カー〇ィー!!!WIN!!!!」
「ふぅ、今日も調子はまずまずかな...」
俺がスマッシュシスターズで次のキャラを選んでいるときだった。
「向井さん...ちょっといい?」
ドアのほうから新藤さんが呼び掛けていた。
「あぁ、新藤さんどうしたの?あと、颯でいいよ。」
「お風呂...みんな終わったから、どうぞ」
「あぁ!もうそんな時間か!ごめんね!報告してくれてありがとう」
俺は着替えを持って、脱衣所まで移動した。
「うん?これって...ヘアゴム?」
洗濯かごに自分の着替えを入れようとしたとき、洗面台にヘアゴムを見つけた。
ガラガラガラ
「忘れ物、忘れ物...」
「!!!!!」
新藤さんが脱衣所に入ってきた。
「キャー!!!!!!!!!し、新藤さん!?なぜ入ってきているんですか!」
「忘れ物をしたから」
「いや!俺が入っているので、後で取ってください!」
「どうして?」
この子は鈍感なのだろうか!?いや、これはある種の天然記念物では!?
「俺はいまバスタオル一枚なんですよ!同性に見られるのも恥ずかしいのに、
異性に見られたら、尚更...」
「大丈夫。私は気にしない」
「こっちが気にするんです!なので、後で取りに行ってください!」
「?わかった」
俺は新藤さんを外に出した後、落ちつかないまま、お風呂に入った。
お風呂から出た後、俺はリビングに呼ばれてたので、リビングに移動していた。
行くとみんなが自分を待っているかのように座っていた。
「やぁ!颯くん!さぁ、君も座った座った!」
「今永さん...そのキャラどうしたんですか?」
「細かいことはいいの!」
強制的に座らせられたあと、今永さんが声高らかにこう言った。
「それではー!第一回新入居者歓迎会を始めまーす!」
「い、いえーい?」
謎の空気感の中、突如歓迎会が始まった。
「もう!奏ちゃんも由奈ちゃんも、もっとテンションをあげて!」
「アタラシイニュウキョシャサンヨウコソー」
文字通りすごい棒読みの新藤さんと、ずっと黙っている長浜さんがいる。
「ほら、奏ちゃんも!もっとお祝いし...」
「未空さん、急に呼び出したと思えばこのために呼んだんですか?
だったら、私は部屋に戻ります」
長浜さんが冷たい言動でこう言った。
「まってまって!せっかく新しい人がきたんだからちゃんとお祝いしないと!
それに奏ちゃんだって、新しい入居者さんが来るって言ったら、
ワクワクしていたじゃない!」
「それは女の子だった場合です!男となれば別の話です!
私は、こいつのことをまだ認めていないんですからね!」
そう言って長浜さんは、自分の部屋に戻っていった。
「ありゃりゃ...やっぱりこうなっちゃったかー」
「長浜さん、男関係でなにかあったんですか?」
俺が問うと、二人は黙ったが、ちょっとしてから新藤さんが話してくれた。
「奏姉さん、昔誘拐されかけたことがあって、
その時は近くに人がいたから大丈夫だったんだけど、
奏姉さん容姿が整っているからよくナンパされる。
それで、男性のことが苦手になったみたい...」
「なるほど...過去のトラウマと重なって、男が嫌いになったと...」
「うん...颯くんも気づいたかもしれないけど、
元々ここに女の子を入れるつもりだったの。
だから、男が入るって知ってあたり強くあたっているんだと思う。」
長浜さんのことを少しだけ知った。
何か事情はあるとは思っていたけど、
誘拐されかけたとはいえとても怖い経験だったと思う。
「お二人は俺が住むってなった時は何も感じなかったんですか?」
「んー?たしかに初めて会ったとき(今日の昼)はびっくりしたけどー、
颯くん優しそうだから私は全然OKって感じかな!」
「わたしも女性が来ると思っていたから...最初は少し抵抗があった...。
けど、颯なら不思議と安心する。だから、私も颯ならいい...」
俺は二人から信頼されていることにびっくりしたが、
それと同時に長浜さんとの信頼も築きたいと強く思った。
「今永さん、新藤さん、
俺、長浜さんから少しでも信頼されるように頑張りますね!」
「うん!奏ちゃん今はあんな感じだけど、
きっと!すぐに颯くんのことを信頼してくれるよ!」
「颯なら...きっと大丈夫」
二人は笑顔でそう答えてくれた。
「まぁ!歓迎会の続きをしよっか!
ほらほら!私おすすめのポテチをご賞味あれぇ!」
「ちょっと今永さん!?口につっこもうとしないでください!
一人で食べれますからぁ!」
「うま...うま...」
こうして波乱なシェアハウスはまだ始まったばかりなのであった。
恋愛経験皆無の俺がシェアハウスしたら全員女なんだが... 緑のかゆみ @midosan04
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