第33話◇再開◇

瑠璃子は立ち上がって木村に挨拶をした。

木村は、一年前に羽田であった時と少しも変わっていなかった。二人は久しぶりの再会にしばらく立ち尽くして互いを見つめあった。木村が沈黙を破った。

「瑠璃子さん。素敵ですね。その洋服良くお似合いです。」

「ありがとう。木村さんに久しぶりに会えるし、今日はホテルでディナーだからおめかししたのよ。」

「こんな時にご無理行ってすみませんでした。しばらく営業に来ていないので、商品のお知らせもしなくてはいけないのです。それとコンペの事も。」

「そうよ。連絡くれないから心配していたのよ。どうなった?」

しばらく黙った後木村は言った。

「その話は車の中で。中村さんもお待ちなので行きましょうか。」

「そうね。」

 瑠璃子はそういって店のシャッターを閉めて、外で待っていたタクシーに乗った。

「コロナ感染拡大で東京は大変でしょう。」

「そうなのです。私ワクチンようやく打ったので安心して下さい。」

 木村が答えた後、瑠璃子は意を決して木村に聞いた。

「アロマボトルのコンペはあったの?」

「ありがとうございます。あれからコロナ禍がまた流行して、イベントも自粛ムードだったのですけど、もともと社内のコンペだったので、開催されたのですよ。」

 そこまで言うと木村は、カバンの中から一枚の紙を出して瑠璃子に見せた。暗い車の中で白く浮き上がった表彰状には、アロマオイルボトルコンテスト優秀賞と書いてあった。木村に見せて貰ったデザイン画がガラスの地球となり、写真が木村聡の名前の横に載っていた。

「すごーい。優秀賞って一等賞って事?」

 瑠璃子が興奮して言うと木村は静かに答えた。

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