第23話◇はやる気持ち◇
「いますよ。でも、離れたところにいるのでめったに会いません。」
「子供さんは息子さん?」
「そうです。うちも息子しかいないのです。」
「それはいいわ。」
川島さんは孫の世話が大変ずっと喋り続けた。駅に着き、川島さんと別れると瑠璃子は乗り場に急いだ。時計を見ると四時三十分を過ぎていた。
ホームに行くとさっきまで一緒に研修を受けていた会長と副会長が電車を待っていた。会長は埼玉県川越市に、副会長は群馬県前橋市に帰ると言った。
「沢田さんはどこまで行くの?」
副会長が聞いた。
「羽田空港から松山空港まで飛行機で行ってそれから車で今治まで帰ります。」
「それは遠いわね。着いたら遅いのでしょ。」
「十一時頃ですかね。」
「それは、遠い所を来て頂いてお疲れ様です。」
会長が言った。
「今から羽田に向かったら五時に着きますかね?」
瑠璃子が尋ねた。
「三十分じゃ無理じゃない?」
副会長が大きな目を見開いて言った。
「待ち合わせ?」
会長が言った。
「デートなのです。」
「あら、いいわね。」
「電話すれば?遅れるって。上手くいっても五時半だわね。」
瑠璃子は会長と副会長をホームで見送るとすぐさま木村にメールを送った。
「こんにちは。今、市谷の駅にいます。五時に約束していたけど、会が定刻に終わらなくて、今、市谷の駅にいます。三十分くらい遅くなると思います。」
すると木村からすぐにメールが返ってきた。
「私は羽田にいます。全日空でしたよね。二階の保安検査場の前にいます。着いたら電話してください。お気をつけてお越し下さいませ。」
瑠璃子は、木村が待っていると思うと気が気ではなかった。電車を乗り継いで四十分程で羽田に着いた。時計を見ると五時十分だった。瑠璃子が電車に乗る前にメールをした時、木村はすでに羽田に着いていたので、四十分待たせている事になる。瑠璃子は携帯電話で木村に電話をした。呼び出し音の後すぐに木村の声がした。
「もしもし。」
「もしもし、木村さん沢田です。ごめんなさい。遅くなって。今着きました。」
「もしもし。沢田さんですか。もしもし・・。」
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