第18話 ◇挑戦◇

瑠璃子と佳乃子は、会って間もないのに意気投合し冗談を言い合った。佳乃子は美人な割には気さくで面白かった。二人が大声で笑っていると木村は真面目な顔で言った。

「お二人共、お仕事持たれていて若々しくて素敵です。」

 木村は真面目な顔で言った。結局、瑠璃子はその夜自宅兼店まで木村に送って貰った。

「すみませんねえ。ご馳走になった上にわざわざ送って貰って。」

「いえいえ。これから「モリー」をよろしくお願いします。注文に限らず何か御用がございましたら、いつでも携帯に連絡を下さい。

 それからも木村は一、二カ月に一度は今治を訪れ、その度に、佳乃子と一緒に会食をした。そのおかげで佳乃子とも友達付き合いをする程親しくなった。友達の少ない瑠璃子には有難い存在になった。

令和二年九月、コロナ感染は完全終息とはいかないまでも、他県との往来は許されていたので、木村は今治に営業にやって来た。いつもの様に「割烹・潮」で佳乃子と三人で食事をした。タクシーで送って貰った時、木村が瑠璃子にパンフレットを渡した。

「アロマボトル社内コンペ?」

 木村に渡されたパンフレットには、アロマオイルを入れるボトルを社員にデザインして貰う企画内容が書いてあった。選ばれると、クリスマスに発売されるアロマオイルのボトルとして採用されるそうだ。瑠璃子はタクシーの暗がりの中で顔にパンフレットを近付けてよく眺めた。

「優秀賞には副賞として金一封とイタリアのガラス工房一年研修?すごいじゃないの?」

 瑠璃子は思わず大きな声を出した。

「そうなのですよ。僕、以前ガラス容器を作っている会社にいたとお話しましたよね。」

「そうね、言っていたよね。」

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