第6話◇木村との出会い◇
「良いですよ。元々沢田さん所のお客さんなのだし。お客さんが便利な方が良いですよね。店舗が増えればお客さんに知ってもらえる機会も増えるますから。」
「私アロマオイルは素人なのです。取り扱うには、研修とか会費とかいるのじゃないのですか?」
「いえいえ、雑貨なので誰でも取り扱えますよ。初めて入会した方は、会社からカタログや資料を送ってくれるのでそれに従ってお勧めすると良いですよ。会費もないし、一万円以上仕入れると送料無料になります。アロマオイルの調合は基本的にお客様にして頂くことになっています。調合の仕方方やアロマの種類や効果などは会社の勉強会に参加して貰えば良いです。コロナ禍のおかげでリモート講座も開催されるようになったし、私で良ければいつでも聞いてください。」
「私にできるかしら?」
「できますよ。薬局されているのだから。私は、アロマサロン専門のお店を開きたくて専門学校へ行ったのです。でも、大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます。」
「コロナが流行る前は、「モリー」から毎月一回は営業マンが来て、新製品やイベント情報を紹介してくれていたのですけど、本社が東京なので、コロナ禍になってからは、研修会もオンラインだし、営業も来ていないんですよ。「モリ―」には私から連絡しておきます。多分担当の木村君から電話があると思います。」
「何から何までありがとうございます。」
「お急ぎですよね。」
「いいえ、この間のお客様はアロマオイルまだあると思うので急ぎませんよ。「モリー」には、先日頂いた名刺の「れもん薬局」にお電話するように伝えたので良いですか?」
「よろしくお願いします。」
佳乃子に電話をした翌日、「モリー」の木村から連絡があった。事情を説明し、取引をしたいと言うと、今度今治に営業に来た時、訪問すると言った。それから二週間後の六月の末に「れもん薬局」に木村が訪れた。それが木村との最初の出会いだった。店のチャイムが鳴ったので出てみると、店の戸口には、グレーのスーツに鮮やかなコバルトブルーの無地のネクタイを締めた木村が立っていた。
「こんにちは。お邪魔致します。私、アロマオイルを販売しております「株式会社モリー」
営業木村と申します。」
木村は長身の細身で、精悍な顔立ちの青年だった。
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