第4話◇癒される香り◇
「いい香りですね。私、寝室にラベンダーのポプリ置いているのです。ハーブの香り好きなのです。」
「ラベンダーがお好きなのですね。」
佳乃子は店の奥にあるテーブルに瑠璃子を案内した。籐のパーテーションの向こうには木のテーブルと椅子が置いてあった。
「どうぞお掛けください。ハーブティーをお入れしますね。ホットとアイスどちらが良いですか?」
「アイスを下さい。」
緊張で喉が渇いていた。瑠璃子は、佳乃子がお茶を用意している間にパーテンションの隙間から店を見回した。この店は佳乃子が一人で経営しているのか、この日は他に誰もいなかった。佳乃子は、花柄のトレーに、ガラスのティーカップとパウンドケーキを乗せて瑠璃子の前に置いた。
「ワ~。素敵ですねこのカップ。アイスティに良いですね。ケーキは佳乃子さんが焼かれたのですか?美味しそう!」
「そうなのです。タイムとレモンが入っているのですよ。」
「お忙しいところすみません。お電話でお話話した様に、うちのお客さんがアロマオイルをお求めで、雑誌に載っていた「モリ―」に問い合わせたら、ここを紹介してくれたので、ご挨拶がてらお客さんより先に来ちゃいました。私もアロマに興味があるのですよ。緊急事態宣言がやっと解除になったので来てみたのです。」
「そうなのですよ。この前の通りも緊急事態宣言中は人通りがなくて。お客さんも来てくれなくてどうしようかなと思いました。」
「ほんと。うちは薬屋ですけど、とにかく人が出てこないですよね。」
蒸し暑い日だったが、佳乃子の麻のノースリーブのワンピースが涼しげで見ているだけで暑さが和らいだ。
「せっかく来たのだから、何かアロマオイル頂こうかな。調合して貰えるのですか?」
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