第2話◇コロナ禍にて◇

「そうね。私は良いよ。店によっては、東京や大阪からの営業は、車のナンバーを見て、お客さんが気にするので来ないで下さいと言うらしいわ。隣のスーパーに車停めて来る会社もあるのよ。」

「そうね。気にする人は気にするわよね。」

「でもね。お客さんだって、どんな人と接触しているかわからないじゃないの。大事なのは免疫力だと思うわ。」

「そうよね。アロマも免疫力強化するものあるのよ。木村君がね、こんな時期だけど、できればお食事もって言うのよ。」

「良いのじゃない。四人以下だし。」

「そうよね。何もかもイベント中止だものね。たまには良いよね。じゃあ、瑠璃子ちゃんは訪店も食事もオーケーだって言っとくね。」

 沢田瑠璃子は愛媛県今治市で「れもん薬局」」を経営していた。中村佳乃子は、今治で数少ないアロマオイル専門店「アロマサロン・ティートゥリー」のオーナーだった。自律神経を沈めてリラックスするのにアロマトリートメントが良いという記事が雑誌に載っていて、体験してみたいとお客さんから相談があった。瑠璃子は、お客さんの持って来た雑誌に載っていた「モリー」と、いうアロマオイルの会社に電話をして一番近くの佳乃子のサロンを紹介して貰ったのだ。佳乃子は「れもん薬局」から車で片道十分程の今治中心部の商店街に店を構えていた。お客さんに紹介する前に挨拶を兼ねて瑠璃子はサロンに行ってみる事にした。

平成三十年一月に中国武漢で新型コロナ感染症が発生し、またたく間に全世界に広がり沢山の支社が出た。未だかつてないほどの治まらない感染拡大に、日本は令和二年四月十七日から五月二十五日迄、緊急事態宣言が発令され、公共の施設や飲食店、パチンコ店なども営業時間自粛となり、観劇や祭り、イベントも殆んど中止になった。学校は二月二十八日から春休みが終わるまで休校となり、新学期になっても入学式も行わない所もあった。

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