第7話 転スラ2030年に飛ぶ・高校生
「ビューン。」目の前を猛スピードの四角い機械が走る。
「耳が痛い。」ごちゃごちゃ音がうるさすぎる。私は耳をふさいだ。
さっき見ていた半分できていた漆黒の黒い教会もない。
その代りに遠くに背の高い白い塔が立って。
周りにも背の高い建物がたくさん立っている。赤、黄色、緑の光が交互に光る。
大勢の人たちがいっきにストライプの上を渡る。四角い機械が一斉に止まる。
ここは?
お店はたくさんあるけど、
ベルのフォマージュのチーズ屋さんも
アリュースもザックもいない。
緑の木々も町の人々もベルマおばさんもいない。
景色が違いすぎる。
人が多すぎる。でも顔も着てる衣装も違う。
「ここはどこ?」
「ドン。」早足で歩く人が私にぶつかる。
私は転んだ。
「ごめん。」少し乱暴そうな背の高い男の子が私に手を伸ばす。
ちょっとザックに似ている。
「急いでるんだ。君、大丈夫?」
「大丈夫。気にしないで。」私はアルタ王国の女王様兼悪魔のガーゴイル帝国の女王様。
転んだくらいで動じない。
その男の子は友達と一緒で急いでるらしい。
何やら同じ制服を着ている。
私も王族の寄宿舎のあるバシエル校に通っていたからわかる。
学生ね。「大丈夫。気にしないで。」
ザック似の少し乱暴そうな男の子は「君、その制服。君も急がないと遅刻するぞ。
もうすぐ8時だ。」
「遅刻?」
「アオ、何やってんだ。遅刻するぞ。走るぞ。」アオの友達がうながす。
見るとアリュースに似た優しく冷静な優等生タイプだ。
「そこの君、君、1年生?入学式遅れるぞ。
僕らは2年だが、早く行った方がいいぞ。」
ザック似のアオが「シュン。行くぞ。」
彼らの言っている意味が理解できないまま、
彼らは走り去った。
何、今の?私は?制服。あれ?制服着てる。
目の前に黒猫が「おバカさん。早く気づきなさい。時の住人よ。」
「えっ?猫がしゃべった!」
「まだ気づかないの?ほんとにそれでも悪魔のガーゴイル帝国の女王になれるのか?
はーあ。」黒猫がため息。
でもなんだかバカにされた私は本題を聞く前に「今、私のことバカにしたでしょう。
はーあって、ため息なんかついて。
私はアリタ王国の女王様よ。その、悪魔の女王様についてはよくわからないんだけど。」
黒猫はまた「はーあ。」とため息をついて次の瞬間すごい勢いで話しだす。
「アリア、あなたはどうして人の話を聞かないの。ほんとに悪魔ガーゴイル帝国の女王様になれるの?」
あれ?この場面、どっかで同じことを言われて
「えっーーー!ベル!あなた妖精ベルね。」
「そうよ。私は妖精ベル。悪魔ガーゴイル帝国の王様、あなたの父の友人ベルよ。
あなたの教育係。どう?思い出した。」
私はうれしくてたまらなく、思わず黒猫ベルを抱きしめた。
「痛いぞアリア。」ベルは私の腕からするりと
抜けた。
「ええ、思い出したわ。私は・・・そうよ400年前に時空移動して、400年前の私にぶどうを渡した黒いマントの男に魔法で眠らされた。
その黒マントの男を捕まえにヒカリに吸いこまれたのよ。
そう。犯人を捕まえに来たのよ。」
黒猫のベルが「そう。やっと思い出したか。
大ばかアリア。」
「で、ベルここはどこ?」
「ここは2030年の未来の世界だ。
土地も移動した。アリタ王国とは別の大陸だ。
ここに黒マントの男はいる。
奴はこの世界で、魔法を使い何かを企んでいる。」
「何を企んでるの?」
「分からない。アリア、まずは黒マントの男を見つけなければいけない。時間がないぞ。
早く見つけなければ、アリア、お前は消滅するぞ。」
「消滅。それは嫌。ベル、黒マントの男はどこにいるの?手がかりは?」
「黒マントの男の時空移動線を追ってみると。この学校にいることは分かった。」
「学校って?」
「アリア、今来ているその制服。」
「そうだ。その制服の学校。江戸橋高等学校。そこに奴は潜り込んでいる。
教師かあるいは生徒だ。」
「ベル、そこまでわかっているんだったら、
すぐ見つけられるんじゃないの?」
「それが、そうもいかない。この土地エドでは何やら魔法がかけれている。
エドの土地自体の魔法のようなものだ。
だから妖精族の力も黒マントの男、悪魔族系の力に制限がかかってしまうようだ。
本来の力が出せない。だから可愛い妖精の姿になれず。私は黒猫だ。」
「ベル、黒猫も悪くはないわよ。
毛並みもキレイよ。」
「当たり前だ。それよりまずは、学校へ行くんだ。今日は江戸橋高等学校の入学式だ。」
「私、高校生になるの。バレないの?」
「大丈夫だ。私達は時の住人。調整能力はある。」黒猫のベルは消えた。
私は目の前の校門をくぐった。
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