第2話 転スラ女王の公務

公務が嫌で逃げ出し、木に登った日から

数週間が経った。

相変わらず公務は忙しい。

執事兼護衛のザックが手伝っては、くれるが

最終判断は私が。国印を押さなくてはいけない。

正直、14才のバシエル校卒業未の私には

荷が重すぎ。

「こんなんでいいのか?トホホホー」

「アリア女王様。

いや、アリア。それでいいんだよ。

君の判断は正しいしさ。」

「そうだといいんだけど。」

私は机の上の山積みの書類に目をやった。

ザックとは従兄弟同士だ。

5才年上のお兄様的存在だ。

2人きりの時は名前で呼ぶ合う仲だ。

お父様、前国王の弟がザックのお父様だ。

しかし残念なことにザックのお父様もすでに亡くなっている。

「ザック、あなたが王様すればいいのに。」

「アリア。それは無理だ。この国、アルタ王国の女王はアリアしか、なれないんだ。」

「どう言うこと。」

「ガッチャ。」ドアが開く。

「アリュース!」

あの日以来会ってなかった。

「寝てる間に行ける時空の時間をあげようと言った、あのこと覚えている。

今すぐにちょうだい。

私は約束通りにアルタ王国の女王をやってるのよ。忙し過ぎよ。」

机の上の書類がドサっと落ちる。

「アリア、お疲れのようだね。」

ザックが「アリアは頑張っているが、

そろそろ限界のようだ。」

アリュースが「そのようだ。アリアの目のクマが大変なことになってる。」

窓に映る自分を見た。

女子にはほど遠い。疲れきっている。

朝の身支度は侍女達が立っているだけでやってくれる。

学校に通ってたころは、寄宿舎にも関わらず、

なんでも自分でやっていた。

それにリリアもキャロルも一緒だったし、

女子力には抜かりがなかったのに。

「わあーん。」涙が勝手に流れてくる。

ザックとアリュースが心配して私の顔をのぞき込む。

「大丈夫?アリア。」優しい声が余計にささる。

ザックが「女王が亡くなってから今まで、

悲しむ暇もないくらいに忙しかったんだよな。泣きたいだけ、泣け泣けばいいさ。」

「そうだな。」

私は、わあん。わあん泣いた。

しばらく泣いたらスッキリした。

ザックが侍女に紅茶を頼んだ。

「ありがとう。

紅茶もこんなにゆっくりと飲むのは久しぶりだわ。」

ザックがアリュースに「そろそろ、教えてもいいんじゃないか?」

「そうだな。」

「何?もったいぶらずに教えてよ。」

「では。女王様。」

2人の言葉と同時に2人の姿がガーゴイルに

変わった。

驚いた私は「えっ!その姿。」

「僕らはこのアルタ王国を守るガーゴイル。

悪魔さ。」




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