女王様は転スラ2重生活

京極 道真  

第1話 女王様誕生 200年前のある国

「女王が亡くなられました。アリア王女様。

あなた様がこの国の新しい女王です。」

私には兄弟はいない。

気づいたら私はあっという間に女王の椅子の座っていた。

お父様、国王は早くに亡くなり、お母様もまた亡くなった。

正直、天涯孤独の女王となった。

救いは、このアルタ王国が豊かで平和なこと。小さな貴族同士の争うはあるものの

他国との大きな争いはない。平和だ。

家臣も元々は王家の親族のため、みんな穏やかだ。

「アリア様ー!」「女王様ー!出てきてください。公務ですよ。」

まるで学校をサボっている生徒のようだ。

私ことアリアは14才。女王の責務は荷が重すぎる。

つい先週まで寄宿舎のある王族、貴族の学校、バシエル校に通っていたのが、

いきなりこの国の女王様はやれない。

自由を愛する私には無理だ。

「お父様、お母様、ごめんない。

私、やっぱり無理。」

木の上から下を見る。家臣たちが必死で私を探している。

「私はここよ。」木登りが得なのは誰も知らないのよね。

「そうかな?」

「わあ。びっくりした。なんだ。アリュースか。」

「なんだじゃないぞ、アリア。

みんな、困ってるじゃないか。

それに僕は先生だぞ。呼び捨てはいけないな。」

「そう?でも私、学校にもう行けないし。

それに、女王?私じゃ無理。

王族は他にもいるわ。

やりたい人が女王でも王様でもやればいいのよ。」

アリュースは、軽々と木を登り私の横に座る。

「アリア、やりたい人とやらなければいけない人とは違うぞ。」

「何それ。」

「人にはそれぞれの役割がある。君にはこの国を守る王女という仕事が役割だ。」

「それは私が望んだものじゃないわ。」

「そうだな。しかし君は王族だ。王族に自由はないんだよ。」

「そんなの不公平だわ。リリアもキャロルも学校生活を楽しんでいるのよ。それに卒業もまだなのよ。」

「そうだな。まだ学校も卒業していないことについては同情するが、王宮では学者の専門の先生達が勉強は見てくださるようだ。」

「そう。卒業のために学校ヘ戻れるかもと思ったけどだめのようね。」

「そうだね。アリアは女王をしてください。

ただ、一つだけ、かわいそうなアリアのために

寝てる間に行ける時空の時間をあげよう。」

「何それ。面白そう。」

「じゃあ、女王の仕事、頑張ってみるかい?」

「アリュースの頼みなら仕方ないわね。」

「そうかい。それは助かる。

このアルタ王国は僕の大事な場所だからね。」

「アリュース。いや、先生。時空の時間、約束よ。」



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