第13話
何となく鳥飼さんとの会話が終わるとスマホを開いた。
最近、仕事が無いのを気にして、無意識に自分のエゴサーチをするようになっている。
人からの評価は怖いものだ。
だから余計に見てしまう。
怖いのについホラー映画を見てしまう。
その不可解な衝動に似てる。
「侑さん、エゴサなんて辞めた方がいいですよ?私嫌ですもん。
自分が顔も知らない誰かに悪口言われてるの見ちゃったら、立ち直れませんよ。」
「ん……別にしようと思ってるわけじゃないんだけどつい。
確かにエゴサは怖いけど、逆にこれ見てメンタル鍛えようかなって。
そしたら何か自分の悪い部分が変わるきっかけにならないかな。」
「もー、本当にやめて下さいね。
あれ本当にメンタルにきますよ?
実際SNSで叩かれた女優さんが自殺とかしちゃってるじゃないですか。」
ハンドルを握りながら鳥飼さんは震えて涙声で言う。
しかし彼女の言葉は耳を素通りした。
自分の評価が露骨に書かれてるSNSなんかで、この所頻繁に見かける言葉がある。
きっとこれを言う人は単にストレスを発散させてるだけが、もしくは本心から悪意を持って言っているかのどちらかなんだろうけれど。
頭から離れない、有機ELディスプレイの画面に羅列した文字。
〈常磐侑————死ねばいいのに〉
リアルタイムで載せられる言葉の暴力たち。
確かに私の女優人生だと、誰かに嫌われるような理由はいくつも存在する。
まず万人に好かれるなんてある筈がない。
むしろ思い当たる節が多過ぎて何一つ反論できない。
ただ顔も知らない誰かに死を願われるのは、結構堪えるものがある。
それはいつも私の心を深く突き刺す呪いの言葉。
シネバ イイ ノニ
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