第4話

 *




 15歳で朝ドラデビューした私、常磐侑ときわ ユウは一躍時の人となった。





 ———飾らない素朴さの中にも煌めく才能。

 独特な台詞の言い回しや、間の空け方の絶妙さ。滲み出る情熱感。

 彼女の演技は見る人の心を揺さぶる。これぞまさに天性の女優だと言えるだろう———




 その時、一緒に映画の仕事をした監督の言葉は当時の雑誌の誌面を飾った。

 そうやって一度人気になると、CMに、テレビ番組のゲストに、ドラマ出演など次々と仕事が舞い込んできた。




 だけど——人気というものはそう長くは続かないものだ。





 「ねー、この人名前なんだっけ?」



 

 「えどれ?どの人?

 あー…それ常磐侑だよ。昔朝ドラに出ててすっごい人気だったの。」




 「あ、そんな名前だったっけ?すっかり忘れてたあ」




 「まーそうだね。テレビでも全然見ないからね。」




 立ち寄ったカフェで、スマホの動画を見てる若いOL風の2人組。

 そんな彼女達のすぐそばに当人が座っていても、気づかないほど薄れた存在。

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