第33話 守護天使(2)
守護天使!?
アーリは自らの前に立つ巨躯の者に気がついた。白く眩しい四枚の羽に、立派な甲冑を身に着けた巨躯の天使。手にも何やら変わった湾曲を持つ武器を身に着けている。良く切れそうだ。
守護天使は、特別な天使だ。頂点神ヤーの肝入りで出張ることが多い。つまり、この度の契約も頂点の把握するところになったことを意味していた。
アーリは、愕然とした。しかし、ヤーは、まだ、ここの財宝の件についてはご存じないはず。当の俺がお知らせしてないのだから、知る訳もない。ということは、まさか!??
アーリは、疑問の赴くところのままに、女神ガーを見た。
ガーは、アーリの視線を受けて、右手をグーパー、グーパーして、受けてみせる。疑問を肯定したのだった。
こいつ〜、通報してやがってたのか。どうやって、天使界と繋ぎを付けたのか・・・。
考えても纏(まと)まらぬ考えにアーリは、縛られるのだった。
守護天使は、言葉を放つ。
我は、怖れ多くも神ヤーによって、この取引の裁定を任された天使キーパーである。汝アーリ、またガーよ、我の判決を受けよ。
キーパーと名乗った守護天使は、神ヤーを掲げ、高らかに場の取り仕切りを宣言した。
天使アーリよ。この契約は、正式に受理されたのだ。従って、この契約の請負い者は、お前である。利益を得る者は、お前。しかし、勝手な破棄、変更などは、許されない。その権限内の置いて、私(わたし)は与えられた全ての力を放出するだろう。気を付けることだ。お前も黙っていれば、富裕者となるのではないか。荒事などは、私も望まぬ。ここは穏便に行こうではないか。私に与えられた任務の完遂。努々、抗うことなかれ。
守護天使の宣言を受けて、アーリとガーの間に目には見えぬが、絶対に犯せない非暴力の線が引かれたようだった。
(コイツは出来そうだが、精々、大天使レベルだろう。権天使や力天使とも、手合わせをした自分やラー・ハームの敵ではない。こんな奴の言いなりで、莫大エンゼルの印紙代と称して、膨大エンゼルの借金をしてしまうのは、割に合わない。何か上手い方法はないものか?)
アーリは、狡賢く頭を巡らせた。
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