第28話 ガー(3)

 あら、ご立派な身体。


 カーは、屹立したアーリの一部を撫で回す。


 ところで、この様なところで遊ぶ為には、相応のホルスが居るのですが、貴方はそれを、お持ちなの?


 ホルス、それは生けるものに宿る力そのもの。全てのものは、なんらかの形でホルスを得て、また消費して、生きているのだ。


 お足が頂けなければ、ここでのサービスは、以上のこととさせて頂きたいのですけどね。


 カーは、アーリの屹立したもの、弄びながら、目で威圧を加える。


 アーリは、身をつんざく快楽に身を捩りながら、そ、そうね、といい、ホルスは無いけど、これならと、持っているエンゼルの一部を差出した。


 それは外界の王、神ヤーの息の一部でもあった。我々の感覚で言えば、ブラックカードのようなものだ。


 まぁ、とてつもないパワー! 見たこと無い力だけれど、少ない量でも凄いパワーを持っていること。


 カーと取り巻きたちには、驚きと笑顔が溢れ、隠すことをしなかった。


 そうね、ご存分に、ここでお楽しみ下さい。こんなところでは、まだ充分な、おもてなしも出来ません。もっと中へもっと中へ・・・。


 そう言って、カーと取り巻きたちは、アーリを沼の深部へと導いていく。


 アーリは、やがて毒に酔い、前後不覚に陥っていく。


 貴方、お宝が見たいと言っていたわね。沼の中ほどにある大岩にお目当ての物があるはずよ。


 そう言って、カーは意味深に笑った。


 アーリは、既に酩酊状態であり、取り巻きの美女たちに、フラつく体を支えられながら、大岩の洞窟に入って行く。見ると大きな巣があり、蜜蜂たちが羽音を立てていた。


 そこでは、ありません。こちらです。と取り巻きの美女の一人に導かれ、とある部屋のドアをくぐる。


 見ると、多くの黄金や宝石があり、剣や王冠の装飾としても利用されていた。そこは目の毒の宝物庫だった。


 うひょーーー!


 余りの豪儀さに、アーリは異様な声を出す。


 これを貴方に差し上げます。


 ガーは、遅れて入ってくると、アーリにそう告げた。


 アーリは、宝物のプールで、一人締めゴッコに耽っていたが、ガーの一言で、真面目な顔になり、ガーに体を寄せた。


 なに!? 本当か? 代価はなんだ? まさかタダも無かろうに??


 当初、ぼんやりと思い描いていた希望の一部が現実となり、アーリは慎重にことを見定めようとしている。


 まさかw これだけの宝物がタダなどと言うことは、ございますまい。私の希望は、あの子、ユリをここに連れて来て欲しいのですよ。あの子の汚れなき光が無ければ、私は生きている気がしないのですよ。あの子の穢れ無き光が得られれば、これら宝物など、惜しいかとはない、そう思えるのです。








 

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