第27話 ガー(2)

 ガーは、取り巻きの美女たちに囲まれながら、アーリに質問をする。


 貴方、あの子のお友達でしょう? あの子は、どこに居るのです?


 ガーは、見つけられぬユリの居場所が気になって仕方がない。


 これは、一際、お綺麗な御方の登場ですな。


 アーリは、舌舐めずりし直して、ガーに正対する。麗女たちの振る舞いを見れば、この中で最も高位の者であるのは顕かだった。高位に付くのは、欲深の鉄則だ。


 私(わたくし)は、ガー。ここの主です。貴方は、どなたですか?


 ガーは、アーリの身元を質(ただ)す。


 あっしは、アーリ。畏れ多くも、正しさ漲る神ヤーさまの息から生まれた天使でござる。しかじか、あって、この地に逃げ込んだ反逆者の討伐に足を伸ばした次第で、ございます。ここで、この様な歓待を受けるとは歓喜が極まって居るところで、ございます。お探しのユリなる少年に道を尋ねたところ、反逆者の逃げ込んだ先と宝の場所を聞き及びました。少年が申すには、こちらには大層な宝物がお有りなそうな。目の保養の為に、良ければ噂のお宝とやらを、見せて貰える訳には参りませぬか?


 アーリは、内心では様々と下衆な勘繰りをしながらも、毒沼の女神の威圧に下手(したて)に出て、交渉を続ける。


 貴方の言い様では、あの子は、また、あの母親の言いつけを守って、私を袖にするつもりなのね。憎い人っ。


 ガーは、膨れ面を見せる。その様は取り分けて、アーリには魅力的に見えた。


 あんな子供を相手にするより、立派な大人を相手にする方が楽しいですよ。


 アーリは、ガーに体を寄せて、悪魔の身体を自慢する。




 

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