第24話 アーリ(4)

 あぎやぁあああ!


 見ると、いつの間に近づいたのか、人の半分ほどもある巨大な蜂が、その太い針の一撃をアーリの首筋に突き刺したのだった。アーリの目の前に凶悪な蜂が、羽音の爆音を立てて浮遊して居る。感情というものは、動物特有のもので、昆虫には無縁のものと通常は考える。しかし、その複眼には、明らかな敵意が見て取れた。


 その虫が近づく時、音はしなかった。それは、先遣蜂は、巨大な体を音のし難い、ステルス形態とし、敵を急襲したのだった。


 そして、先遣蜂は、遥か後方に伴った多くの同胞の攻撃蜂部隊と共に、大音量の羽音をブーンと揃って上げて、アーリの耳を圧倒した。そして、一斉にアーリに対して襲いかかった。


 人の半分ほどの大きさもある、凶悪な昆虫であった。その大群に襲われては、アーリもひとたまりもないだろう。そう思われた。が、しかし、アーリも神ヤーの息から生まれ、特別な技能課程を修了した元エリート天使である。危機回避の術は心得ている。


 バシッド!(殲滅)


 と言うと、破壊をもたらす衝撃波を自身の周囲に張り巡らせる。攻撃蜂たちは、粉微塵になって、四散した。


 イテテテ。首筋を狙って来やがるとは、小癪な虫どもだ。なんだ? 虫けらの癖に天使様に歯向かおうてのか?(今は悪魔だかなw) 良いだろう、一族ごと、巣ごと、破壊つくしてやるよ。今のは痛かった。この攻撃は高く付くぞ!


 アーリは、悪魔の形相になり、迫りくる蜂の防衛戦士を、引っ掴んで壁にぶつけて殺したり、その死体を投げ飛ばして爆弾と変化させたり(ラ・ボムと言う)して、やりたい放題の暴虐をした。

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