第21話 アーリ(1)
アーリは、ユリの指示に従い、毒沼の森と思われる木々の生い茂ったところへと飛んで行く。
しかし、ここの住人は素直で従順だなあ。少し脅せば、いくらでも利益は得られそうだ。多くの利益をサタン様に差し上げれば、俺の評価も上がるというもの。悪魔の貴族とかに任じて貰えないかな?
アーリは、取らぬ狸の皮算用にご執心だ。
いやいや、余りにの高望みは、幻滅の元だからな。ほどほどで良いのだよ。しかし、お褒めの言葉と何かの報酬くらいは頂けるだろう。楽しみなことだ。
アーリの気持ちは、すでにラーハムに自身の恨みの一撃を決め、捕縛した反逆者の身柄を、神ヤーに捧げた第一功臣のつもりだ。一番手柄と言う奴だ。
これは、ここの総督だなwなどと、ワクワクが止まらない。
アーリとユリは似ている。どちらもラーハムに心動かされ、魅了された者たちだからだ。特定の対象と共に居るだけで、何かを満たされる、そんな気持ちになれる者たちだからだ。
片方は善に振れ、片方は悪に振れたが、それは根本的には同じである。どちらも純粋なのだ。
アーリは、毒沼に到着した。鬱蒼と、生い茂る森の樹々、そして、草々。本当にラー・ハームは、この中に入って行ったのだろうか?
その様な痕跡は、見受けられなかった。
訝(いぶか)りながらも、アーリは木々の枝や草々を掻き分け、危険アリアリの不測の森へと踏み入っていった。そこには、恨みの本懐と自身の栄達が、その先に、ほの見えているから。
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