第13話 ラーハムの思い、ユリの思い
ラーハムは、ユリとユリの故郷を汚さない為に力を付ける努力を、今日もして居る。ユリのお付きの侍従パピィの手解きを受けている。天使で手練とまで言われたラーハムである。傀儡であるパピィ程度では、相手に成らないはずだが、病み上がりである為に、パピィにも全く刃が立たない。
パピィは、まだ療養に力を尽くすべきではないか?と進言したが、ラーハムには焦りがあった。天使の追手は、待ってはくれない。奴等が焼き尽くした罪も無い街や星が幾つ有るかなど、考えることも無い。沢山あるのだ。
理由は後から、説明がつく理由を、貼り付けるだけで良い。天使界は、そんな世界に成り下がってしまっていた。そして、そんな世界を後押ししたのが他ならぬ自分なのだ。
ラーハムは、パピィに無理を押して頼み込んだ。ラーハムは、パピィの技を吸収しようと必死になった。
ユリは、そんなラーハムのことが心配になり、エリに止めるやうに言うように頼みに行った。エリには、離れていても、傀儡の見聞きしたことが分かるのだった。だから、天使界の堕落具合をラーハムから聞いて、ラーハムの焦りには、同意を寄せていた。
例え、傷ついた身であっても、ラーハムの戦闘力の回復を支援しなくてはならぬのだとの、思いに至っていた。しかし、それはラーハム1人に責任を負わせる行為。しかし、だとしても、エリにはそれを進める他なかった。他に方策が思いつけずに居るのだから。
お願い、ユリ。貴方と一緒に居れば、ラー・ハームさんの傷の治りが早くなるらしいの。彼から目を離さないで居て。それが、この楽園の安泰にも繋がるのよ。
エリの言葉を聞き、ユリの純粋な瞳に強い使命感の光が灯ったようだった。
母上! ラムラムとか、言い難い名前は止めたんだよ! ラーハムは、今はラーハムって言うんだ。ボクが名付け親だよ!
その後もユリはそこに至った物語を、まくし立てた。エリは、その様子を微笑ましく眺め、ユリが語り終えるのを待って、言った。ラーハムさんね。分かりましたよ。エリは、微笑んだ。女神の笑顔は、美しかった。
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