第10話 片翼の天使(悪魔の誕生1)
悪魔にも色々、居る。悪魔は通常、魂を売り渡せば、その体が変化する。体は黒変し、翼は蝙蝠となり、指には獣の爪が生える。しかそ、ラーハムが見なした、見なし悪魔とは、外見は普通の天使の者たちだ。見なし悪魔は、心の腐れた者たちだ。虚・偽・悪・醜に染まり切った者たちだ。彼らは、進んで、邪の手先となった。悪魔で居ることが気持ち良くなってしまった者たちだ。
ラーハムを狙う、躓きの石。その悪魔は、アーリと言った。アーリは、ラー・ハームも知る相手であった。しかし、その知る相手は、天使であった頃のアーリである。アーリは嘘つきで、自己の利益を考える者だったが、頭は良く、名の無い頃のラー・ハームと馬が合い良く釣るんでいた。天使に技能修練という期間があり、二人は、その期間を共に過ごした。戦闘技術や魔法の修練は積まずとも神ヤーの息から生まれた時点で身に付いている。修練するのは、神ヤーに対する忠実さだ。不誠実と見なされたものは、即座に誅殺された。そんな環境の修練期間では彼らより秀でたものは、5万と居た。だが、彼ら二人が目指すところは別にあった。ラー・ハームと呼ばれることになる天使の実力は、ある日を境にメキメキと上達していた。表向きは、神ヤーの為の献身として。
その天使は、上級天使のスターマに召喚される。特別に腕を認められ、その知己を得たのだった。
アーリは、それを嬉しく思いながらも、傍に居続けられない自分を思い歯痒い思いもしていた。
ある時、神ヤーは、不信心者の群れを征伐する為に、成績優秀者を選び抜いて、大遠征の征伐に出発させた。
アーリは、選ばれ無かった。作戦軍の枠外であったアーリだが、ラー・ハームと呼ばれることになる天使の番号が呼ばれる度、アーリの胸は高鳴ったものだった。
遠征から帰ったラー・ハームは、上級天使群の覚え愛でたく、完璧な天使スターマの師事を仰ぐこととなった。天使の師事は、自ら選んだ弟子一人だけでなく、もう一人の弟子との格差で師匠であるスターマも神ヤーの選別を受けるシステムである。ランダム要素で通常選ばれるのだが、ラー・ハームと呼ばれることになる天使は、アーリを推薦する。
この時、まだ、アーリとは呼ばれず、番号だった。ラー・ハームが、接近戦闘タイプ。アーリが魔法遠距離タイプであることなど、高度教育上バディ育成の好都合であったことなどが作用して、64を数える天使の階級のうちでも、まず最上級である最上級天使群の認可を経てからの、次に神ヤーの裁可を得ての、バディ選出だった。
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