第8話 片翼の天使(反逆の天使)
ラーハムは、傀儡のパピィとリハビリ訓練に励んでいる。動けるまで回復したとはいえ、それは日常生活に障りがない程度の回復程度である。ラーハムは、自身の運命を見つめる時、この先は、それではおぼつかないと考えている。必ず争いが渦巻く中に投げ出される。悪に染まった天使界は、このユリの住む天上界にも害を及ぼすことを考えるだろう。そうはさせない。させる訳には行かない。そんな切実な思いに囚われるラーハムが居た。
ここで、ラーハムの記憶は過去に飛ぶ。天使の中でも戦士の中の戦士と称された下級天使が居た。褒美としてラー・ハームの名を与えられ、その功績を称された。彼より、殺しに殺した天使は居ないだろうと言われた。
だが、ラー・ハームは、天使界の欺瞞と汚職に行き着いた。そこに居るのは怠惰と傲慢ばかりだった。使う手段は、詐欺と脅迫で全てを、思いのままにする思考。
彼は自らの師匠であり上司に、これをこれを訴えた。師匠である完璧を冠する天使は言った。不問に付すようにと。
不服を唱えたラー・ハームは、完璧に戦いを挑んだ。だが、相手は完璧な強さを称えられた天使スターマ。ラー・ハームに於いても、勝てぬ強さを披露される。だが、ラー・ハームの敗北を見つめる誰しもが覚悟したとき、ラー・ハームは、完璧を誇る完璧の中に、解(ほつ)れを見つける。ラー・ハームは、解れに手を掛ける。そして、それを引き抜いた。それは意外と軽く引き抜けた。ならばと、ラー・ハームは、引き抜きに、引き抜いた。余裕をかますスターマの血の気が見る見る失われた。解れ引き抜きをラー・ハームが止めた時、そこに居たのは、華やかな壮麗なスターマで無く、見る影もないヨボヨボの老人だった。
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