第2話

 駒沢大学駅から自由通りを下っていけば、駒沢公園が広がっている。休日に一歩踏み入れれば、新緑に染まった陽が眩しい都会のオアシス・・・という妄想に反して、駅に抜ける近道に公園を利用していた私からすれば、 実情は人で溢れた休日のファミリー向けレジャー施設といったところである。

 もう昔のことで、私が二十歳になったばかりのことだった。

 人目をさけるように待ち合わせは薄暗くなってからだった。公園内の電灯が少し前の威勢を失い、心もとなく葉桜を照らしていた。駒沢公園にはサッカーグラウンドがあり、その隣りのベンチを待ち合わせ場所にした。その日のことはよく覚えている。久しぶりの再会ということもあり、東京で覚えたての着こなしで、生暖かい初夏の風が待ち時間を少しだけ重たくすすめていた。

 

足をもぞもぞと何度も組みかえたり

遠くの方を眺めてみたり

自分自身に自らを少しでも格好良くみせていた。


彼女と出逢ったのは、高校生の頃である。どこからか嘲りが聞こえそうなものであるが、

 

青臭い恋


また私の悪い癖である。この後もこのような言葉の断りを挿入することは心苦しいのでどうかお見逃し願いたい。しかし、言葉がそれしか見当たらない、表現力が貧困、今となっては苦いと感じる甘酸っぱい思い出、ということは、恋。青臭く軟弱だがやはりそれが本質であるのかもしれない。

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