第42話 聖の騎士

「教会、我が神の名を騙る悪しき者共は我ら冒険者を謀り位階の儀式に呪いを混ぜております」


「なんだって?そんな・・・」


ダイゴさんの目がちろりとあたしを向き、アリーへと戻る。


「確かです。マサトのレベルを確認しませんでしたか?」


「いや、確認はしていない。いつもと変りなく・・・そういえば、最深部から戻ったにしては弾けそうなほど体力をみなぎらせていた感じだったね」


ああ、前の方の・・・フランスパンの話か?

過去の男、マリオとルイのパゲットを彷彿とし顔が熱くなってしまう。

やっぱりカタさよりもおっきい方が…


「聖下の・・・ナイコ様のおちからによる階梯上昇の儀によるものです」


「では、教会はわざとレベルを落として・・・間引きつつレベルを開放していると?」


「あーなるほど、一回幾らならたくさんやったほうが儲かるよね」


「さすが聖下の御慧眼」


「うーん、つまらんとこ持ち上げられすぎてバカになりそう・・・」


「ナイコさん、アリーは一体・・・」


「えーっと、洗脳しちゃったんですよ、やむなく・・・というより、主にあたしの都合で」


あーコレはまた処刑案件なのかも・・・怖い!!

でもアリーはこの世の全てを犠牲にしてでも苛め抜きたい!


「違います!わたくしは自分の意思で聖下に」


「だからソレを洗脳つーの!自分や組織の為に自律的に行動するロボットのように思考や精神を組み上げ・・・なんて大げさなもんじゃなくて、うーん・・・パブロフの犬的な条件反射を組み込む?とか??」


やばい、じぶんでもわかんないむつかしいことを騙り出したらワケ分んなくなってしまったwwwww


「いやいや待って待って!ナイコさん、結局はアリーに何をしたの?」


そうそう、言い訳とか想像とかどっかで聞いたうんちくを雑に接いだ妄想じゃあなくて時系列に沿って行動と状況だけを淡々を言えばいいのよ、コレ40代以降中年バイトの心得だからね!身に沁みてんのよ作者談www


「えーっと、先ずアリーを生き返らせ・・・って、コレ言っちゃダメなやつじゃないですか?」


いきなり躓いたわwww


「蘇生?・・・チートモノでもそうは見ない、そんなスキルを持っているのかいナイコさん」


ダイゴさんがめたくそ声ちっちゃく、でもびりびりと響く緊張感をもって語り掛けてきた。


「その、ゲーム的にはそんな大した事無いですよね?だって・・・えーと、20レベルって書いてありますよスペルブックには」


スペルブックがすらっと言えた!

あたしは確実に虚構言語との融合を進化させている!!


「スペルブック・・・マジックユーザーが精神世界に持っているグリモアか」


「聖下、どうかわたくしにダイゴさんの教化をお任せ下さいまし」


「え、いい・・・けど、ダイゴさんは?」


「うーん、これでもレベルは上限の60だからアリーの精神系のデバフはほぼオートでレジストできるし、いいよ。やってみて」


60・・・マサトよか低いのか。

ステータスは・・・お、出た出た。



本善導大悟


聖騎士Lv60 (256)


状態 Leached


STR 155 (4096)


「ブーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」


「せ、聖下?!」


「うわ、ちょっ・・・」


余りの高レベルに吹き出してしまった・・・レディとしてあり得ない、恥ずかしい!けどさぁ・・・えすてーあーるて腕力とかやよね?よんせん?!?!


「ダイゴさんて神なの?!今ステータス見たんだけど!!」


こいつアンリーシュ()したら屁ぇこくだけで地球()が割れるんじゃない?!


「え?ナイコさんのレベルだと全部アンノウンじゃないの?見えた??」


「なんか256とかだったよレベル」


ダイゴさんは安心したようにため息を吐くと、椅子に身を預けた。

めたくそギシ音が響く・・・


「ああ、欺瞞が入ったのか・・・うーん、でも高く出るとは、ナイコさんは僕より強いのか?やはりあのハイエルフと同じで色々と規格外・・・」


「聖下」


「あ、遮ってごめん。どうぞ続けて」


アリーは姿勢を正し、カウンター向こうのダイゴさんに正対する。


「ダイゴさんはレベルの他に、職能を制限されているハズです。今、わたくしはナイコ聖下の僕、敬虔なる女神エルテの信徒としてダイゴさんに奇跡を授けます」


「あ、ああ、承知した。存分に下されるがよい・・・いや、お受けしよう」


「聖騎士ダイゴ。その脳髄に埋もれ隠された神の奇跡、エルテの聖なる魔法書に・・・啓かれよ!」


す、すごい・・・アリーからめたくそ聖く清浄なオーラが発せられてる・・・ピン立ちちくびから蘇ったのに、こんなにも清冽に!


そしてダイゴを向くと毎度のレベラップ連発が始まっていた。



ぶっちょりと太った体がめたくそ輝き、溶けるようにそのカタチを変じて行った。


え?なんやコレ・・・第二形態とかそういうアレ?


光の中から全身にみっしりと筋肉が弾けんばかりに盛り上がっためたくそマッチョなクールガイ(語彙・・・)が出現した。


「「ええええええええ!!!!!!!」」


アリーと両手を握り合いハモってしまったwww


「・・・ホントにダイゴさんですよね?」


覗き込むようにダイゴへと問いかけているアリー。


「暗殺されて入れ替わられたんじゃないコレ」


前世の日本じゃ出勤ゲートに置かれた体温計で全部顔を撮影され隣国へ送られつづけてんだよな~対処対策無しのまま。あたしら国民も全然騒がんかったし。。。w


「あまりに違いすぎて入れ替わりの意味がありませんわ・・・」


「あ、そーいやそうだわwww」


「うーん・・・」


ダイゴさん(仮)が頭を振り振り、カウンターへヒジを付きながら椅子から立ち上がる。


カウンターがミシッ、と音を立てる。


「おっと・・・ん?手が細く・・・いや、誰の手だ?」


「はいステーターオープンッ!」



本善導大悟


聖騎士Lv256


他・・・・・



「間違いなく本人です!いやー便利だわこのステータスオープンて」


「聖下、これは一体どうしたことなのでしょうか」


「うーん・・・教会に受けた抑圧の魔法で強さが脂肪にあふれ出してた、とかなのかなあ」


「いや、びっくりだよほんとに」


本人も顔を撫でながら服のあまり布を掴み縛ってため息をついている。


「ふふ・・・あ、いいわよアリー。言っておあげ」


「・・・あ、ハイ!ダイゴさん」


「ん?ああ、これは・・・」


「あなたに女神エルテの奇跡は宿りましたかッ!」


ズビシ!

と、美少女が強い眼差しでダイゴさんを指す。


ダイゴの口が開かれ、なんかめたくそ厳か感のあるエフェクト付きでセリフが発声された。


『女神エルテの聖騎士、ダイゴ。天使アイネルの剣となりてこの世に聖を齎さん』





洗脳完了!


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