第36話 死体たち

デビルが消えると、めたくそ広く感じる・・・いや、初めから巨大な空間だったんだけど・・・部屋・・・うーんなて言えばいいのかな、ホール?を見渡す。


真ん中にでっかい椅子がある。

近寄ってみると、・・・めたくそ遠いわ。

つーか10メートルくらい手前でもう近づく気が無くなるほどでかい。


ああ、デビルサイズなのか・・・


天を衝くほどに高い背もたれを見上げ首が疲れてしまった・・・若いのになぁ



つーか最近てまほーつかってもエルフになんないや。

これは便利!


イスから振り向き・・・え?光の案内は椅子で終わっていた。


・・・


妖精を向くと、やれやれなのよね・・・とでも言いたげに首を振って消えた。



なんつー邪悪な妖精だ!

つーか悪霊?


まーでも妖精なんてそんなモノよね・・・・


ホールを見渡した限り、入って来た扉以外出る方法は無さそーである。

仕方なく徒労感いっぱいになって扉へと足を運ぶも、そーいや魔石っつーの拾ってないわとデビ消えしたあたりに視線をやると・・・めたくそデカい、座布団くらいの魔石が落ちている。


ええ・・・もう無視するか・・・


しかし金目の物とあっては置き捨ててゆくのは身を割かれるようにツライ。

なんとかなんねーのか・・・


別に落ちてるもんでどーにか出来る当てもないのだが、なんとかなくそこらの石床を見渡してしまった。


黒いシミやら汚物やら・・・ん?あれは全部人間なのでは?


つーか手とかおっぱいとか、明らかに人間のパーツがある。


きも・・・



つーか、こんな不穏も極まる屍体の破片とか見てもキモッ!だけで済ませてしまう自分が悲しい・・・大幅に女子力(時代)が下がってしまっている気がする。


おっぱいに近づく。


うーん・・・ブラもないであろうこんな世界でよくこんな男の妄想から抜け出たようなぷるんとした形を維持できたよなコイツ・・・あ、ブラて鎧下から派生したんだっけ?いやこんな世界ならともかく前世じゃ女は鎧なんて着ないじゃろ・・・


ぷっくりと膨れた先端もアニメのようにピンク色だ。

しかしはしたなくもこんなに尖んがらせたままお亡くなりになるとは、なんという業の持ち主であろう・・・


たぶんKRMは補正込みで最大値だったのではなかろうか。


うっ、ダンナ4のような語彙を使ってしまった!

5と3?奴らはゲームみたいな語彙はあんま使ってなかった気がする・・・


まーソレは兎も角、生き返らせるなら女からだな。

男は錯乱して襲ってきたり弱み見せた途端襲ってきたり特になんの脈絡もなく襲ってきたり正直うざいすぎる。


顔がナミでもやはりデコイ・・・また女子力()の低い語彙を・・・身代わりとして美少女の一人や二人は侍らせといた方がよい。


「あなたにリザリザ~」


ステッキが欲しい・・・


キラキラ輝く鱗粉がおっぱいを包むと、そこから全身が光の糸で編まれるように復活を始めた。


おっぱいが起点でも生き返れるのか。不思議・・・

あなたのパトス、ロゴス、エートスは全てそのぷっくりと勃起した乳首から生まれたのよ・・・



現れたのは、白い肌白く長い髪の驚きの全裸美少女だった。


なんやほんま美少女ばっかやな最近・・・まーフツーに嬉しい。


白く魚のようにうつくしいおみ足がクッソ汚い石畳に着地すると、フラリ儚い美女っぽく倒れ地に付した。


え?やだよ、支えるとか男のやくめじゃん・・・


誰から言われたわけでもないのになんとなく後ろめたい気分になりながら、倒れ伏してもなお美しい美少女のほっぺをぴぷにぷにする。


マブタが僅かに痙攣し、リップも引いてないのにうすく透明感のあるピンクの唇がぷるりと瑞々しい果実のように震え、男ならずともどちゃくそに犯したくなるような切ない喘ぎ声が漏れた。


「あぅ・・・ここは・・・あなたは?」


あたしを見止めた辺りで少女は目を見開いた。


「レフト、あの悪魔とみんなは?!」


「レフトて誰やねん。あたしはナイコ・・・ニナよ。あなたは誰よ」


「ナイコ・・・あっ、申し遅れました、わたくしは・・・」


そういいながらも周囲を見渡し、絶句してしまった。


わたくしとかいう女、前世込みで初めて遭遇したわ・・・いやー生き返して当りだったかなコレwww


「マサト!ピエール!うそ・・・みんな!誰か生きてないの?!」


なまえーなまえー


「おーい、発狂するなら魔法かけるよ」


「あなたは・・・あたし以外に誰か」


あ、イベントシーンぽく話さんといかんの?


「あたしが駆けつけた時、既にあなたしか・・・」


「そんな・・・っ!」


全裸美少女は再び座し、メソメソと泣き始めた。


えー・・・なにしてんのクソかったるい・・・

あーしに女みせてナニがしたいねんのコイツ。


いやいや、あたしもこんくらいの時には猫の死体とか虫が死んだとかで隙あらばメソメソして友人たちとベッタリくっついて慰め合い大会してたじゃんねえ。


アレはたぶん女性脳の機能的な保全を目的とした生理現象やったんよねきっと。


つってもまーいまのコイツに付き合うつもりはないねんけど。


「そのカッコで寒くない?服とかクツとかはあんたの死・・・そこらの死体からはぎとって身に着けてね」


肩を震わせ両手に顔をうずめる彼女にいつまでしてんねんと微妙にイラつきながらツンケンと指示する。


「あっ、ごめんなさい。・・・この姿、わたくしも行きずりの暴漢に身を汚されてしまったのですね」


美少女は涙に咽びつつエロ声で語りながらノロノロと立ち上がると、ジブンぽい屍体のパーツからクツやらを外し身に着け始める。


「ふふ、マサトが履かせてくれたブーツはこんなキレイなのに・・・わたくしのヒザから上はこんなズタズタに・・・え?」


長靴を脱がせた美しいおみあし(屍体)を両手にアリーちゃんの嘆きは疑問の声でとまった。


「あー!盗まれたんじゃない?!ソイツきっとあんたのブーツ盗んだとこにあのクソデカい悪魔に殺されたんだよきっと!」


美少女があたしを振り返り瞠目した。


「わたくしはレフトに片足を薙がれ、動けなくなりました。そしてわたくしを庇いマサトは・・・」


再び感極まったように顔を伏せる美少女姓名不詳。


マジこいつ人の話聞かない。




いいかげん名前教えてくんねーかな・・・

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