第33話 PTOK?

「仲間連れて来たぜ」


「女じゃん」


「あたしらだけじゃ不満なワケ?いらないよこんなブス」


青い髪に灰色・・・アイスブルー?の瞳の少女とハニーブロンドに青目の少女。

うーん、めっちゃ美少女じゃん。

それも二人とも。

コレでその気に成らんて、こっちの男てマジ趣味がわからんわ・・・


バリズは困ったようにこちらを向く。


いや、こっちを向くな。


一歩踏み出し、友好的に見えるよう満面の笑顔でおずおずと控えめに口を開く。




「あのさぁ、バカなの?あんたらだけじゃモノ足んないから呼ばれたんじゃない」




空気が凍る間もなく割れ弾けるゴングで戦闘が開始された。








「てゆーワケで宜しくね」


「まぁ、バリズに気が無いってだけはわかったわ」


「そうね。ウソだったらタダじゃすまさないけど」


「あら、股は開かないとは言ってなくてよ?」


「殺すよ?」


ため息が出る。


「あのさあ、あーしを殺したってあんたらに気が向くと思う?これまでどうだった?」


「くっ・・・でも、全ての女を殺し尽くせば」


マジで殺してたのか・・・


「そのまえにあんたが殺されるでしょ」


なんか剣を抜かなくてもヤれそう・・・誘いなのかな?

強気なのにはワケがあるんだろうけど。


「まー、確かに胸にも脚にも視線がこないしね」


「リーラっ!あんたぁ!」


「ほんとのことでしょ・・・あ、あたしはミーアよ」


「ナイコよ」


「ナイッ・・・ク?男の名前なのね」


ああ、破音てゆーんだっけ、か行とかパ行とか。


「ああ、ニーナでおねがい」


「ニナか。リーラ、ミーア、ニナ・・・うん、いんじゃない」


なんであたしだけ長音が無いのよ。

そいやお姉さまもニーナつったのにニナて呼んでたっけ。



「自己紹介も終わって早速だけど、あんたら二人に言わせてもらうわ」


「あら、いいわよ?」


「ヌービィちゃんが何を語ってくださるのかしら」



息を吸い込み、前世90年代後期までのボーカル声量で朗々と叫ぶ。



「美人にあぐらをかくな!そんなんじゃ死ぬまでおっさんのセフレしか出来んぞ!」



「なっなななな・・・カレ、おとこくらい沢山いるし!」


「あたしだってもう百人の百倍くらい経験豊富なんだから!」


「ホントに処女だったのかよ・・・」


顔は背けつつもチラ目で黙し聞き耳を立てている男達から二人を遠ざけるように離し陣を組む。


「とりあえずあんたらの顔と前髪をあたしに預けな」


「はぁ?何をする気よ」


武器おじに貰ったダガーを抜こうと半分ほど引き出し、止める。

なんじゃコレ鉈じゃん!


「ちっちゃいナイフもってない?」


「あるけど・・・なに?鼻でも削ぐの?」


「鼻そいで美女になんならいくらでも削ぐわ!マユと前髪と・・・うーん、リーラは青で濃いから顔もちょっと剃る」


ミーアがちっちゃいナイフをあたしに差し出した。


「まーとりあえずあたしで試してよ。不埒なコトしたらリーラがあんたを殺す」


「あーいそれでいくわじゃーちょっと目瞑って」


ソリソリと眉を整え・・・まじ切れるなこのナイフ、お姉さまんとこの奴と違って刃も薄いし軽い・・・ワンレンをシャギって前髪を作る。

髪質は細くなめらかだけどやっぱ毛量があるからぱっつんはあたしの腕じゃムリそう・・・


「こんでいいか・・・しかしすげえな」


これが人種差か・・・ってあたしの顔もおな人種じゃん。


はちみつ色の髪を持つ天使がこの小汚い街に顕現してしまった・・・


その天使が突然頭陀袋・・・マントか、を被せられ消えた。

いや、いるけど。


「次はアタシね。はやくはやくはやくはやはやはや」


「おちつけ、ナイフは逃げない」


リーラは体毛を陰影に使う形でビミョーに残しながら顔を剃り上げ、マユは細くツリ目に合わせ角度を付け、前髪はセンターを下ろした顔がハートに見えるようなヤツっぽく仕上げ・・・いや、プロが見たらハサミを求めながら狂い死にするレベルだろうけど・・・大まかな印象はミーアと揃えつつアンシンメトリーな対比にまとめる。


「えっうそ・・・リーラずるくない?」


「あたしはミーアをあとちょっとで殺す所だった」


二人は互いを見ながら硬直している。



しかしスゲーな美人は・・・眉と前髪だけでコレだよ!



「おーいザバス!じゃなくてなんだっけバルス!じゃない、バリズ!来て」


三人の内バリズだけがノロノロと近づいてくる。


「なぁ、ちょっと耳に入っちまったんだが、おまえら二人とも処・・・」


バリズがしょーもないことに口を開く間に二人は互いの顔をマントで隠し合い叫び始める。


「リーラを見ないで!」


「バリズはミーアを見ちゃダメ!」


かっ、かわいい・・・


「なあ、顔なんてどうでも・・・」


このタイミングか?二人のマントをむしり取る。


「あっ」


「きゃ」


大きな目を見開きながら恥じらいに頬を染める二人の顔に、バリズのノド仏が大きく鳴った。




あの、もう帰っていいよね・・・・・


あたしはその痴情の場を離れ、物欲しそーに三人を眺める男たちへと歩み寄る。

ヒゲメンだけど、外見だけなら二人ともなかなかの好物件である。


・・・臭いけど。


「ねえ、あたしたちはどうする?」


「どうする、って?」


なんか墓石の間を吹き抜けてきたような、めたくそ魂が抜けている声音だ。


「いや、なんかあの二人手伝っちゃったからさ・・・どっちかに思いを寄せてたんなら」


「なら?」


うーん、でかいんだよなこの二人・・・また死ぬのか・・・


「責任、とってもぃぃょ・・・」


いちおうマントとコートから肩を抜き、たくし込んでた髪をゾロッ!と振り出して見せる。


前世のおばさマダム専用誌に男を野獣化させる定番とか載ってたのを横目で見て学校(小三)で男子相手にやりまくったんだよなぁ懐い・・・マジ狼とかパンダになると思って・・・長じてからはひっつめを解こうとする度にセックスアピールにならないか警戒しながら頭痛を怺えて・・・そのクセにネットでは男に通用しないアピールNo2の座を連年獲得し続けていたり、やっぱここでも通用しないんかね・・・


ん?


あたしの視線は、ちょうど二人のみぞおちあたりなんだけど、二人の股間からなんかフランスパンみたいな膨らみが・・・


「おい」


がっし、と右肩を抱かれる。


「ああ」


ぐわっし、と左腰を抱かれる。


あたしはウサギのように怯えながら二人の顔を見上げてしまった・・・


「お前は今日から俺達のパーティーメンバーだ」






・・・獣、コレが獣の顔―――――



どうやら、今夜も惨い夜になりそうだ。






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小三で髪を解いて男子とパンダにとか他作家様からの丸パクかもしれん!

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