第3話 わたしは何を思い奴を見るのか。

 今日の分の食料は取れたので家がある街跡の元平民街に帰って来た。


 ちなみにさっきまでいた館は元貴族街だ。


 「………」


 「ふぅはぁ————」


 つけられてるな。


 「はぁはぁはぁはぁッ」


 つけてた男が私の影を踏んだ時に靴を収納して一瞬体制を崩した隙に思いっきり腹を殴った。この影収納は生物じゃなければたとえ身につけていた物でも収納できるのだ。


 「ぐっ!?」


 「おい、これは誰の仕業だ?それとも貴方一人の画策か?」


 「は、ハハハ」


 「………話せないなら話せるようにお口おっきくしちゃう?」


 ナイフを男の口角に押し当てる。


 「ひっ、言う、言うから、言いますから」


 ちょっと切れたけどまあいっか。ナイフを外した。


 「…誰の画策?」


 「姉様、姉様ですハイ」


 「特徴は?」


 「赤いドレスですに長い金髪です」


 「理由は?」


 「姉様、あの、その…」


 「…その?」


 「異常……性癖…なんだ」


 こんな世界で性の興奮を覚えるとはなかなか図太い女だな。


 「どんな性癖?」


 「13から16くらいの少女の苦しんで…絶望した顔」


 「チッ、最っ低のクズ女だな」


 確かに私は15だが、クズの変態の性欲発散道具に成り下がるのはごめんだ。


 「お前はなんでそんなクズの言いなりになってる?返答次第では———」


 「ハハ、そんなの簡単さ、姉様はいらなくなったらそいつでヤらせ————がっ…ぁ…ァ」


 「ぶっ殺す」


 喉に刺したナイフを捻り抜く。


 「何が『姉は異常性癖』だ、お前も十分ゴミクズじゃねえか」


 嫌な思いした。早く帰ろう。


 「おいアローン」


 「ん?なにおじさん、私今機嫌悪いんだけど」


 この無精髭を生やしたおっさんはご近所付き合いのヒートおじさんだ。


 「あのなあ、確かにこいつはただでさえ臭いゴミクズだけどよお、ほっとくともっと臭くなるだろうが。てめえで出したゴミくらい自分で捨てろ」


 「盗み聞きとは趣味が悪いね。まあ、そこまで言われたらゴミ掃除はくらいならするよ」


 「ふっ、不可抗力だ。聞かれたくねえってんなら人ん家の前で騒動は起こさないことだな」


 まあ人の家の玄関先でゴミ処理をしたのは悪いとは思ってるけど。ただ悪いと思ってるのは絶対に口にしてはならない。おじさんの性格上一回下手に出れば絶対面倒なことになる。

 

 「あれ〜?誤ってられないのかぁ、そっかぁ、おじさん悲しいなぁ」


 「う、こんなことでいい大人が泣かないでよ…」


 「うう、なんでこんな子に育ってしまったんだ」


 「ああもう悪かった、悪かったってば」


 「おおラッキー、我ながら運がいいね。まさか目に砂が入っただけでお前が謝ってくれるとは」


 「はあ!?さっきの嘘泣きだったの!?」


 「じゃお詫びの品、期待して待ってるからな」


 結果的にゴミを片付けるうえに翌日鼠を一匹あげる羽目になったのだった。

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神亡き世界でキミは何を思うのか。 玉雫 @SWBW

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