第2話 わたしは何を思い狩りをするのか。
今日も私は狩りをする。昨日は何にも狩れなかったからね。
というわけでやってきたのはボロボロで今にも崩れそうな屋敷だ。こういう屋根があって暗い場所は鼠がいることが多い。ほらいた。
ここは何の部屋だろう?応接室だろうか。
一匹か。それにこちらに気づいていない。
それなら狩りは簡単だ。ただ静かに近づいて刺す。
「ジィイィぃ!」
これで一人分確保。もう一匹だ。
ちなみに私の装備はかなり心許ない。
ボロボロの服とズボンに私たちの家にあった爺さんの胸当てと革靴、少し刃の欠けたナイフだ。
ただ胸当てが爺さんの物だったためかキツイ…こんな動きを妨げるだけの肉に栄養が行くよりももっと役立つところに栄養が行って欲しいものである。
おっと話がそれたな。
「ここは…宝物庫?」
正直宝石なんていらないが何か使えそうなものがあるだろうか。
「これは…絵?ただこれは…」
そこには森の手前の川にかかる橋の風景画だった。
しかし———
「なんだ?この印は」
そう、橋のたもとの部分に剣に止まる鳥のマーク、家紋のようなものが描かれているのだ。
「これはあとでしっかり見るか」
そう言い絵を私の影にしまった。少し重いがこれくらいだったらまだいつも通り動ける。
「これは使えないな」
宝物庫の奥には少し錆びついているが立派な金の剣があったがこれは戦うための剣というより何か功績を残して王から貰ったような見た目だけの剣に見える。
「ここはこんなところかな」
次に来たところは多分食堂だ。
鼠が三匹、こんな時の狩りは少し工夫がいる。
まず自分の影を立体化させる。
ああ、ちなみに自分の影を立体化させると影に収納している物の重さは感じなくなる。これで影が自分で歩いてくれたらよかったんだけど、世界はそんなに甘くない。
まあそんなわけで影を立体化させたわけだが次は相手から見えない位置で音を立てる。
コンッ——
「ジッ!」
「ジッジィ!」
「キィィ…」
おっと一匹逃げたか、まあいいや。
そうすることで私の影を見つけた鼠はそれを獲物だと思いやってくる。
そこを、刺すっ!
「「ギギィィィィッ!?」」
これで今日の狩りは終わりだ。
あとは狩った鼠を全部影にしまって帰るだけだ。
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