神無四辻のメモ
【神無四辻のメモ】
【おみとしさま と 神の使いについて】
・思っていた以上に、おみとしさまは怪異の侵入に敏感なようだ。太田捜査官の意見を参考にすると、僕が忍び込むのはとても無理そう。残念……。
村に入る許可が下りたら、できるかどうかわからないけど、おみとしさまを説得してみるしかないか。
・バラバラ遺体の捜査中に抱いた疑問——おみとしさまには認識できない怪異がいるんじゃないか——は、柳田支部長に聞いてみると、以前から神の使いの正体について議論がされていると教えてくれた。
記録によると、これまで土地の穢れの元は、因習に苦しめられた人の念だと考えられていた。そのため悪霊が生まれて悪さをしないように、おみとしさまの信仰を存続させることで悪霊を発生させないようにしていた。
しかし、穢れが年々増加していることから、最近になって支部の中で穢れの原因とおみとしさまの能力を疑問視する声が上がり始めたらしい。悪霊は既に生まれていて、神の使いに成り済まして存在しているのではないかというのが、彼らの言い分だった。
今まではその証拠がなかったけれど、太田捜査官が言う通り、天井下り事象とあのバラバラ遺体が、悪霊の存在を裏付ける証拠になるかもしれない。
・支部の主なみとし村の調査内容は、穢れの量の測定、因習がなくなっているかどうかと、おみとしさまが穢れによって変質していないかの確認だった。
もしおみとし様が変質するようなことがあれば、機関は例の計画を実行に移すつもりだった。
【機関の計画】
・例の計画での僕の役割は、みとし村の穢れと変質したおみとしさまを清めるというものだった。だけど悪霊が既に生まれていたとすれば、そっちも対象になるだろう。
・証明できれば、太田捜査官が言った通り、計画はすぐにでも実行に移されるはずだ。
僕は村に入れないけど、あの遺体を山に埋めようとした犯人を捕まえれば、何か聞き出せるかもしれない。
全て終わるまで、アイの精神はもってくれるだろうか……。
【アイのこと】
・太田捜査官は僕達の正体に気付いたようだ。詮索する気はなさそうだけど、注意しておく。
万が一、太田捜査官がアイに接触して事情聴取するようなことがあれば、折角の芝居が無駄になる。
・サンが依り代に選んだのは僕だけだと、記憶を無くした彼女に印象付けてきた。だからアイは、自分はただの人間だと思い込んでいるはずだ。
・今朝の発作が原因なのか、アイは記憶を取り戻しているみたいだ。
それなのに、久しぶりに真名で呼んでくれて、嬉しいと思ってしまった。全部思い出すのは危険なのに……。
・
フィルターで隠していても、捜査を進めるにつれて情報は明かされる。今朝のような事が起こらないように、ここから先は更に気を付けてあげないと。
・サンを召喚して怪異を取り除くには、アイの協力が必要不可欠だ。だから寮に残して来ることはできなかった。
・アイの為とは分かっているけれど、本当の事を話せないのは辛い。どうしてもアイと話していると、話すべきじゃないことまで話してしまう。
騙し続けるのは限界がある。
早く事件を解決して寮に戻れば、きっと彼女は今回の事も全部忘れてくれるはずだ。
やっと、ここまで回復したんだ。
記憶を失った彼女は、なぜか名前を日暮逢と改めた。でも彼女は昔と何も変わらない。僕の良く知るアイだ。
彼女は僕を救おうとしてくれた。だから僕も、彼女を救いたい。
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