第26話 転校生は、謎すぎるロシアの石油王の娘でした!!

「みんな、席につけ。今日は、転校生を紹介する。入ってきていいぞ」




 教室の扉を静かに開け、入ってきたのは美少女。




 真っ白なくるくるのボブ。真っ白な肌。桃色の瞳。




 男子も女子も、その見た目に釘づけだ。日本人とは全く違う。神秘的で、女神のような美しさ。


 ふふっと、クラスメイト達に笑いかける。








 ズキュ――――――――ンッ!!








 教室をハートが埋め尽くす。


 教室にいた大半の生徒が、 一瞬で彼女の虜になる。






 しかし彼女は、その虜たちを一瞬で裏切った。 








「……かーめ、はーめー」




 かめかめ波のポーズ―――――、ん?




「はあ――――っ!!」




 そして。




「……お前は、すでに死んでいる」






「――――え、この子大丈夫な子?」


 男子の一人の本音がつぶやかれた。






「オッス! オラ、アナスタシヤ・ヴェクセリベルク! ロシア人で、石油王の娘、アル!」




 アル!? かめかめ波? ドラゴンボールってこと?


 ロシアって、語尾にアルつくんだっけ? それに、石油王!?


 石油王って、アラブのイメージあったけどロシアにもいるんだな……。




 バンッ!




 自己紹介をしたと思ったら、転校生は教卓に手をつき、言う。






「これからデスゲームを始める、アル!」




「「「    え   」」」




 クラス内が、混乱で満ちる。






「名前は、タコゲーム!」


 すぐに何のパクリかわかるし、あんまりおもしろくなさそうだ。




「一回戦は、だるまさんがころんだアル!」


 そのまんま……。


「そんなのつまないから早く自己紹介終わらせろ〜っ!!

 とクラスのヤンキーが言った。

 それに続くようにクラスメイトから猛抗議。


「そーだ! そーだ!」

「もうすぐ1時間目始まっちゃうよ!!」

「誰か、あの転校生下がらせようよ」

 などと言い出してしまう始末。



 それを、転校生は一喝する。

「静かに!」


 手に持っているのは、銃――ではなくスマートフォン。


「動いた奴がいたら――――、即パパに電話して存在ごと抹消するアル」


 結構怖い!?




「わかったら、そこを動くんじゃないアル!」


 もう完全に、クラスが彼女により支配され、タコゲームが始まろうとしていた時。










「ナーシャ!! そういうことは、しちゃだめって」


 椅子から立ち上ってそう言ったのは。




「あ……」




「優香?」


 凜は驚いて、優香を呼ぶ。


 優香は、はっとして口に手で覆った。






「ようやく声をかけてくれたアルね、ユーカ!」


 優香の姿を見た転校生は、顔を一気に明るくさせた。先のような着飾った笑顔ではなく、素直な笑顔。




「久しぶりアル! ユーカ! 久々にリュビーマヤに会えて、感謝感激、ヒデキも感激、アルか?」


 ヒデキ、感激。


 じゃないよ!!




 


「優香さんと関係があるのか?」 


 


 そう周りがざわつくので、どうしていいかわからない優香は、固まった。






「えーっと……」


 そのノーリアクションが気に入らなかったのか、転校生はずかずか机の間を入っていき。






「ユーカ……会いたかった」








「え?」


 優香の前の前までやってきた。


 そして。






 チュ―――――――。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る