第7話 社会との距離感をどう取るか
社会と関わることは、私たちが生きていく上で避けられないことです。しかし、パーソナリティ障害を抱えていると、その距離感をどう取るかが大きな課題になります。近づきすぎると疲れてしまうし、離れすぎると孤独感に苛まれる。この微妙なバランスをどう取るのか――それが私にとっての大きなテーマでした。
距離感を調整することの大切さ
私は過去に、社会との距離感を間違えてしまった経験があります。例えば、無理に周囲と合わせようと頑張りすぎて、自分のエネルギーが尽き果て、すべてを投げ出してしまったこと。また、逆に自分を守ろうとしすぎて、必要以上に人を避け、孤独に陥ってしまったこと。そのどちらも、結果として私を苦しめるものでした。
そこから学んだのは、「自分にとって心地よい距離感」を知ることが何より大切だということです。それは他の人と同じである必要はなく、自分だけのペースで調整していいのだと、少しずつ思えるようになりました。
具体的な距離感の取り方
では、具体的にどのように距離感を調整しているのか。そのいくつかの方法を紹介します。
1. 役割や場面を限定する
私は、すべての場面で完璧に社会と関わろうとすることをやめました。例えば、職場では最低限必要なコミュニケーションを心がけ、プライベートでは自分の好きな活動や趣味を優先するようにしました。一つの場所でエネルギーを使いすぎないようにすることで、少し余裕を持てるようになりました。
2. 「つながりすぎ」を避ける
SNSやメッセージアプリなど、現代の社会ではいつでも誰かとつながることができますが、それが逆に負担になることもあります。私は自分が疲れていると感じたときは、通知をオフにしたり、少しスマホから離れるようにしています。「つながり」も大事ですが、「離れる自由」も同じくらい大切だと思います。
3. 信頼できる人に囲まれる
私は、少しでも「この人とは安心して話せる」と思える人を選んで付き合うようにしています。多くの人と関わる必要はなく、数人の信頼できる人がいれば十分だと気づきました。その安心感が、社会とのつながりを保つ基盤になっています。
4. 無理に「普通」を目指さない
以前の私は、社会に溶け込むために「普通でいよう」と努力していました。でも、その「普通」を目指すこと自体が自分を苦しめていると気づいたのです。今では、自分の特性をそのまま受け入れ、その中でできることを探すことに集中しています。
孤独を味方にする
距離感を取るとき、どうしても感じるのが孤独です。けれど、それを必ずしもネガティブに捉える必要はないと私は思います。一人でいる時間は、自分を見つめ直し、心を休めるための大切な時間でもあります。孤独は時に、私たちが社会と関わるためのエネルギーを充電する「静かな場所」になり得るのです。
私たちに必要なのは、柔軟さ
社会との距離感を保つには、柔軟さが必要です。状況や自分の状態に合わせて距離を調整することができれば、社会との関係はもっと心地よいものになるはずです。そのために大切なのは、自分をよく知ること。そして、社会の一員であることを前提にしつつも、無理をしない自分らしい関わり方を見つけることです。
次回は、「他者の期待や評価」とどう付き合うかというテーマについて考えてみたいと思います。他人の目を気にしすぎることから解放されるヒントを一緒に探しましょう。
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