やるべきことを見失ったら、考えてみて
星咲 紗和(ほしざき さわ)
本編
私たちは日々、さまざまなことに挑戦し、新しい世界に触れています。それ自体は素晴らしいことです。何かを試すことで視野が広がり、新しい可能性を発見できるからです。しかし、いろいろなことをしていると、時に「自分は何をやりたかったのか」「これでいいのか」と疑問に思う瞬間があります。忙しさに流され、目の前のタスクに追われる中で、自分の本来の目的を見失ってしまうことがあるのです。
私の場合、その一例がSNSの利用です。私は執筆活動を中心に、自分の考えや物語を形にすることを大切にしています。しかし、SNSは便利で楽しく、発信することで人とつながれるため、つい力を入れてしまうことがあります。気づけば、執筆よりもSNSでの反応を気にしている自分がいる。フォロワーが増えた、いいねが付いた、そんな小さな「成果」に一喜一憂し、本当にやりたいことを忘れている瞬間があるのです。
ある日、ふと考えました。「これって、本当に自分のやりたいことだったかな?」SNSを使うのは、自分の作品を多くの人に届けたいから。発信そのものが目的ではなく、あくまで執筆活動の一環であるはずでした。それなのに、気づけばSNSが「本体」になりつつあり、肝心の執筆が後回しになっている。このままでは本末転倒だと感じたのです。
そこで私は、自分自身に問い直しました。「そもそも、私がやりたいのは何だろう?」この問いを繰り返すことで、少しずつ迷いが晴れていきました。私がやりたいのは執筆です。自分の物語や考えを形にし、それを読んでくれた人が何かを感じ取ってくれること。それが私にとって一番の喜びであり、やりたいことの根幹です。SNSはそのための手段であって、目的ではないのです。
こうした振り返りは、特に現代のように情報があふれた社会では重要だと感じます。私たちは日々、多くの刺激を受け、さまざまな選択肢に囲まれています。その中で、新しいことに挑戦するのはいいことですが、時に立ち止まり、「自分はどこに向かっているのか」を確認する必要があります。たとえそれが小さな違和感であっても、その違和感を放置しないことが大切です。
また、定期的に立ち止まることで、目の前の忙しさに惑わされず、自分の道筋を再確認する機会を持てます。私はこの「振り返る時間」を意識的に設けるようにしました。例えば、毎月の終わりに「今月、私は本当にやりたかったことをやれたのか」と考える時間を作ります。具体的には、ノートに「自分の目標」と「やったこと」を書き出し、目標と現実のズレを見つけるようにしています。この小さな習慣が、自分の本来の目的を見失わないための助けになっています。
一方で、「やるべきこと」を意識しすぎて、自分を追い詰めてしまうのも避けたいところです。すべてを完璧にこなそうとすると、かえって疲れてしまいます。だからこそ、振り返る際には「できなかったこと」に目を向けすぎず、「できたこと」にも目を向けるようにしています。自分を責めるのではなく、「じゃあ、次はどうするか」と前向きに考える時間にするのです。
やるべきことを見失うのは、誰にでも起こり得ることです。それ自体は悪いことではありません。むしろ、それに気づけた時点で、あなたは一歩成長していると言えます。大切なのは、その瞬間に立ち止まり、自分を見つめ直すこと。そして、もう一度初心に立ち返り、自分が本当にやりたいことに向かって歩み直すことです。
私もまだ試行錯誤の途中です。それでも、定期的に自分を振り返る習慣を続けることで、少しずつ自分の軸を取り戻していると感じます。もしあなたも、何をやるべきかわからなくなった時には、ぜひ立ち止まって考えてみてください。自分が本当にやりたいことに気づき、また進むための力を得るきっかけになるはずです。
やるべきことを見失ったら、考えてみて 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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