中学生時代(前半)

俺が殺した男

意識が戻ったと思うと懐かしい景色が目に入る、中学校の教室だ。「お前、女みたいな顔だな」この言葉も昔聞いたことがある

前の席の男子が体格がデカ目の奴らに囲まれていた「キモ」吐き捨てるように放った言葉

俺は昔から「昔の方が良かった」と言うやつが理解出来なかった。いじめなんて見て見ぬふりする教師、堂々といじめてくるヤツら

それに怯えてる俺も大っ嫌いだった。

「き、きもいのはお前だろ!」大きな声で

叫ぶ「お前みたいなゴリラより女みたいな

やつの方がマシだろ!自分のこと棚に上げてバカみてぇ」入学式早々俺は 自分の何倍も

体格のでかいヤツに喧嘩売って ボコボコに

された。「お前、喧嘩売ってくるくせに

弱っ」と笑われてるのに何故か懐かしい気持ちになった しばらくすると俺の腹を蹴って

体格のでかいヤツらはいなくなり 痛くて

動けぬまま俺は空を見ていた。時折寒い風が吹くが雲ひとつない青空で見てると無性に

泣きたくなる「……じょう、ぶ?」急に視界に綺麗な顔が映った「ごめ、僕の、せいで」

途切れ 途切れに絞り出すような声「お前、

前の席の……?これくらい平気だ。」俺のした罪にしては軽すぎる「うそ、いたい、

でしょ?」俺よりも辛そうな顔をして天使が

いるならきっとこんなやつなんだろうなと

思う。「本当に平気だって。それにお前のせいじゃないし」口で言うのは簡単だが痛すぎて体が動かない「ごめ、ごめんね、」そっと

俺の頭に触れる手は暖かく優しい「だから、大丈夫だって」平気なフリをして立ち上がる

「な?心配してくれてありがと」礼を言って

帰ろうとすると俺の腕を引っ張り「あ、いっしょ、かえろ」と誘われた。「いいけど。

お前の家どっち?」「こっち」と指をさす

どうやら反対側のようだ「じゃあ、こっちから帰る。」と指をさした方を歩くと少し

嬉しそうに「ありがと」と笑った。

「ぼく、ふゆの、ようって、いいます」

冬野 陽と同じ名前……なんで、気づかなかった?顔だって陽をそのまま幼くしたような

見た目なのに。俺は何も言えず ただ陽の話を聞いた昔から見た目でいじめられていたこと

両親は自分に関心がないこと、そしてストレスが原因で一時期声が出なく ようやく最近

声が出るようになったこと。「りょうく、

やさしい、かっこいい、ヒーローみたい」

そう言ってまた笑うその場から逃げ出したく

なったのをこらえる。「ヒーローなんかじゃない。どっちかと言うと 悪役のボスだな」

不思議そうな顔をして でもまた笑った。

家まで送ると「また、あした」と手を振って

家の中に入っていった。……また、明日か。

何度もその言葉を心の中で繰り返す

なんだかやっぱり懐かしい

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