ギターとマシンガンと女の子(名前はけい)2

 トイレである。

「気付いたか?月?」

 答えるのは、わずか、数cmのアマガエルである_。

「わざと言ってんな、、、?次におれを月と呼んだら、鯨肉にして安く仕入れさすぞ?少女のおもちゃに成り下がった、マシンガンちゃん?」

 男子便所内で、何やら<コト>が起こっていた。マシンガンが、カエルを睨む。

「ふはは。その威勢の良さ、頼もしいことだ、柚宇よ、さて本題だ。気付いているか?」

「どっちの話だ?」

「馬鹿め。この船に偶然居合わせた二頭の惑星巫天では、ない。こっちが何もしなければ、奴らが、事件を起こすことは、ないだろう!」

「はっは。今や、奴らもプロミュージシャンだからな。おれに言わせりゃ、求喰川に住む、あの貝かぶった、<はづ>とか言うシャチの方が、いいセンスしてるがな」

「は。お前も幼稚な、価値観を持ったものだ。この時代で、あの力を出せているのだぞ?やはり、真の惑星巫天の力は底知れん。あの<はづ>は賢いだけで、生意気なだけであろう。おれは、<こころ>派だ」

「は、あのガリ勉、ハコ娘シャチかよ、もう、誰もついていけてねえだろ、この会話!」

 バン、ドアを尾びれによって、開けるマシンガン。便器から、追いかけるカエル。

「さっきから、この船に付き添っている、不気味なイルカの正体を探るぞ、月」

「、、、!本当に、<アシュラゴロシ>に戻ったら、焼き殺してやるからな?マウヅ」

 -

「今回は、どう考えても、兎瓦けいの手には負えん。わかるな、柚宇」

「は。いや、わかんねえぞ、マウヅ。なかなかいい女だ。ガキだが」

「柚宇。兎瓦けいに手を出したら、このおれが許さんぞ。やつには、奈良さとしという生涯共にすべき相手が、いるのだ」

「重えんだよ、おめえは!おれだって心の中は、反蛇求喰様一色よ!彼女のためだったら、死ねる!」

「趣味が悪いな、月」

 二匹は、今、駐車場に来ていた。フェリーの最も、下の階、階段で降りられるそこは、小さい窓が、点在してあり、外の、つまり水面の景色が、この中では最も、海原に近いアングルで確認できるのだ。

 船の真下にいる、マイルカが、一頭で、たった一頭である。この一頭、現在、上の、カエルとミニシャチに感づかれては、いるが、現在、真上にいる全ての乗客及び、惑星巫天を殺す計画を、もう8時間、練り続けているところだった。

 -

「で」

 ばん!

 スティーブが、手を崖の<地面>においた。もう一方の手で、仁美の肩を抱き寄せようとしたが、無言で避難される。構わず、用意していた台詞を吐く。

「王になるってのは、どういう意味だ?」

 太陽神は、口を開けた。

「レノンとかやは、どこまで説明を?」

 にこやかなたれ目は、人気キャラたれパンダのようである。スティーブは、答えた。

「いや、何も」

 表情が固まる、神岡浄介。 

「どうした?神」

「何も言わず、ここに連れられてきたのですか?スティーブ」

 声は、幼稚園へ行けば、全員が、ついてきそうな、見事なアニメ声である。緊張感のかけらもない。柚宇と同じ感じの和服姿に、見事なスキンヘッドの女性である。ただ、目が特殊で、(ここが非生物を思わせる)、黒目と白目が逆なのである。ちゃんと、想像できたろうか。目の玉の方が、白く。外が黒いのである。不気味な、眼光を持っていた。

「いや、ヒマ潰しをしろって」

 ぱら、スティーブの裏で、崖の先が崩れた。風も何も吹いてなかった。その太陽神、よく見ると手も足もなかった。目をこらし、何かに呼ばれるように、上を見た時、スティーブは夢に出そうなものを目撃した。悪い意味で、である。

 太陽に

 足と

 巨大な手が

「ダメな子」

 生えていたのである。

 ステイーブは、目を太陽神に戻すと、背筋が凍った。

 神岡浄介は、ほんのちょっとだけ、怒っていたのだ。

 -

「ど~こ行ってたんだべか、このアホガエル!」

 ぽこん。

「気安く触んじゃねえぞ、馬鹿人類!てめえ、最近調子に乗り過ぎだ。ゆしの声なきゃ、何にもできねえハゲのくせしてよっ」

「ハゲじゃないもん、わたしっねっちなっちゃん?♪」

 兎瓦けいは、このあと、彼氏のさとしには、おそらく一生言えない体験をすることに、なる。悪い意味で、である。

「、、、ねえ。けい。地球様って信じる?」

「、、、?」

 死ぬほど驚いたことを笑顔で隠すけい。ここは、船内ビュッフェである。

 いい感じに空いている。やはり、旅行は平日に限る。あの、猛獣事件以来、学校がなくなっているので、皆休みたい放題だ。だが、佐々木先生が、見回りでしょっちゅう街を歩いているため、街ではそこまで遊べない。そこで、今回の旅行を計画したのである。

 けいは、返した。

「わたし、その話はさとしに止められてて、、、」

「、、、。なんか変わったね、けい。変わってないんだけど、変わった。奈良に対してだけ。ま、いいや。いやね?お母さんに話したら、飛びついてきてさ?なんでも、<雷神様>っているじゃん? いるっつっても、言い伝えだけど(笑)さ」

 そのとき、近付く影が在った。

 ガチャピンである。

「地球様って雷神様の正体って言われててね?ほら、家の家系ってそんなん関係のばっかじゃん? ウチ、寺だし」

「知ってるよ、うん」

 けいは、泣きそうである。

「あ、なんか、ごめん。さとしに怒られるんだよね。そうだよね」

「あ、いや良いんだけど、よ?」

「兎瓦けい」

 けいは、呼ばれた。誰もいなかった。ちなつも、誰の声だと思った。50m先で、テレビで見たバンドのドラマーガチャピンが、こっちを見ている。まさか、この距離で聞こえた声だったのか?それは考えにくい。

 けいは、震えていた。

 -

 個室である。なんの個室だろう。用途がわからない。マシンガンも他のシャチもカエルも、居なかったことをいいことに、ガチャピンは、一人の女の子をここに連れて来ていた。女の子が、叫び声を上げた時点で、それは犯罪である。ちなつは、実は、部屋の外で、耳を澄まし、いつでも警察を呼べるようにしていた。

 シャチ達とカエルは、デッキに出て、風を当たって気持ちよくなってる演技をしながら、マイルカについて会議をしていたのである。


 その海豚<イルカ>

 全生物調教組合FINE紅一点、最大の生物シロナガスクジラを、仕切りこなす、色気の悪魔、名をOMEZAと言った。、、、、。ちなみに、求喰川の、鯨類男子による、メス人気投票で不動の一位を現在獲得中の、超美人イルカである。

 イルカである。イルカなので、人間から見たら、ただのイルカ♀である。鯨類にとっては、オードリーヘップバーンである。ただマシンガンのタイプでは、なかった。駄文を続けて、申し訳なく思っている。

 さて、かやはどこにいるのだろう。なんと、マシンガンの背後にいた。さっきの、バンクーバーに行こうとして、偶然間違ってこの船に乗ってしまったというのは、嘘である

 かやは、惑星巫天中、最も賢い最悪の策略家であった。

 -

「よう。改めましてこんにちは。兎瓦けいちゃん。かわいいね」

 レノンは、女好きだった。

「ど、どうも。あの、ユウホドウのヒトっすよね?ははは、すげえ有名人に呼ばれたべ、これっ」

 さえぎる、レノン。

 最低の行為を実施した。けいは、これ以上、レノンとしゃべることはなくなる。このあとは、レノンが一方的に、しゃべることになる。声帯を抜かれた、けいは、レノンにキスをされた。5秒間。天才<塩素>担当惑星巫天レノンは、人類に、サキュバスと呼ばれたことのある、究極の最低色魔で、あった。

「、、、、?ぁ ぁ ぁ」

 いくら、耳を澄ましても、ちなつの耳には、けいの悲鳴は、届かない。

 レノンは、けいに囁いた。けいは、ひざまづいて、自分の喉の何かを、夢中で探している。いくら、探しても、その何かは、見つからなかった。

 レノンは、こう囁いたのである。

「糞無能人類ドモノ、音楽ゴッコ二本気デ付キ合ッテルワケジャネエンダヨ。今度オレヲミュージシャンナドトノノシッタラテメエノ舌抜イテ、サトシチャン二提出スルカラナ?イシアガン」

 カモメは、本当に、楽しそうであった。

 -

「何しに来た?<酸素>かや」

 マシンガンが、水面を見たまま、呟いた。

 背後のかやが、返事をする。愛らしい娘である。

「うん。邪魔しに来た。あんたらを。なんか調子に乗ってるから」

 ぴん、とかやが指を弾くと。

 ばたばたん。

 デッキに居た全ての人間が、気絶した。構える、小山、自治医大、鹿沼、~

 求喰柚宇はそういう風では、なかった。小声で、「ちちくせえガキが」と、おれの聞き間違いじゃなけりゃ、聞こえた。

 かやは、説明した。

「酸素濃度を下げました。マウヅ様。そこらにいる周りの人間の、呼吸器付近だけ。一瞬」

「つまらん説明だな、かや。これ以上、ガキの遊びを続けると、柚宇が黙っておらんぞ」

「てめえで、やれよ」

 カエルが、不機嫌そうに返した。

 ふう、と息を吐く、かや。 「まあまあまあ。べつに。もう、あたしがやることないよ」

 ちなつも、呼吸困難で気を失っていた。

「あとは、あのガチャピン馬鹿が、下のイルカを惨殺してくれる」

 -

 けいの耳を舐めるレノン。けいは、本当に殺してやる、と思った。レノンは、窓を開けた。振り返った。

「けいちゃん。説明してやるよ。あのキリン事件。あれ、出したのおれなんだよね、えっとね。やっぱ、めんどくせえや。けけ!」

 けいは、本当に殺してやる、と思った。

 -

 マシンガンは、今思い出した。

「、、、」

 しかし、驚きは外には、出さなかった。

(けいが危ない)

 -

 柚宇は、ムカついていた。せっかく、ただ楽しもうとこの時代に、やってきたのに。それもこれも、あのワカメをぶら下げたシャチのせいかと思うと、ムカついてしょうがなかった。

「さとざくらめ。あんま、ゆしを困らせないで、くれよ?」

 おれには、何のことか、解らなかった。

 -

 神岡浄介は、説明し終わると、けろっとしていた。

「と、言うわけで。仁美さん、貴女はスティーブの妻になるのでございます。そして、子供を産むので、ございます~ぱちぱちぱち」

 スティーブは、半笑いで、仁美は、崖に飛び降りる準備をしていた。

 太陽神は、まったく空気を読めていなかった

 -

 OMEZAは、水面に出た。上にいる、マシンガン達に気付くと、余裕でウインクをし、それはマシンガンを意外な、気分にさせた。

<気付かれている、と知っていた?>

 声を上げた。

 くるくるくるくるるるるるるっるるるるるるるうるるるるうるるるるるうるるるるうるうるるるるるるうるるるるるうるるるるうるるるるるるるるるるうるるるるるうるるっるるr

「長えな」(柚宇)

 るるるるうるるるるるるるるるるるるうるうるっるるうるるっるるるうるるっるうるるるるるるる!!!!!!!!!!!!!!

 その時である。船の目の前に、(船は、軽く200mはある)、塔が出現したのである。_船長は、なぜ気付かなかったのだろう。気を失っていたからである。だが、それだけでは、ない。たった今、浮上してきたからである。たった今、水面を割って出て来たからである。

 マシンガンは、叫んだ。

_「勝負だ、シロナガスクジラ!シャチ様が相手だ!」

 重さ200t。長さ22mのその動物は、今、尾びれを振り上げ、船に立ちはだかったのである。

 OMEZAは言った。

「やっぱね~きゃっははっははははっははははっは Simple is chest でしょ?イシアガンども!」

 それを言うなら、Simple is best。

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