第5話

三人は、それなりに名の知れた大学に通っていた。偏差値は低くない。出席はきっちり取られているため、ほとんど出席は怠らなかった。



「めんどうだな」



瞼が重くなったころぽつりこぼしたつぶやきには、返事があった。



「なにが」



眠りにつきうそうだったリュウは、おどろいてベットから落ちてしまった。痛みをがまんして顔をあげると、怪訝そうにこっちを見つめるユウがいる。



「……だいじょうぶか。すごい音がしたぞ」



笑いをふくんだ声にいらっときたが、眠かったリュウはおとなしくそこに胡坐をかいた。



「まさか落ちるとは思はなかった」



ユウを睨む。



「うるせえぞ。寝るすんぜんだったんだ…」


「……おれはまだ、ベッドから落ちるっていう経験はしたことないな。んな端っこに寝るから…」



ユウはやさしい雰囲気で笑っている。



「なんだ、気もちわるい」


「うるさいよ。明日、遅刻しないようにね。じゃあ、おやすみ」


「……おやすみ」



静かに閉まったドアを横目に、リュウはベッドに転がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る