第8話
どくどくと響く脈の気もちよさに目を閉じると、隣でリュウの動く気配がした。目を開けると、リュウのぼおっとした顔がある。
「起きたの?」
リュウは風音の問いに答えなかった。身体を起きあがらせ、時計に目をむける。針は丁度、夜明けまえの四時をさしていた。
「早すぎだな、風音。眠れなかったのか」
やさしく笑うリュウに首をふりながら起きあがると、風音は抱きついた。湿った胸からは、自分のよりすこし速い鼓動が聞こえる。自分の音とリュウの音を聞きながら目を閉じ、抱きつく腕に力をこめた。すると応えるように頭に大きな手がのせられる。
「風音」
顔をあげた風音に、リュウは顔をよせ、そのくちびるをそっとなめる。それが合図だったのか、リュウのくちびるが何度もなんどもおちてくる。くちびる、そして布越しに感じるリュウの体温に、タオルをつかむ手の力は徐々にぬけていった。
「抱くぞ……」
合間につぶやかれたその言葉に、閉じていたまぶたをあけると鋭いものが風音をみつめていた。その瞳に反射する影に、風音は身体のそこからなにかが波のように押し寄せるのを感じた。
「……シャワー、借りるね」
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