第7話

一年前の夏、風音はこの男にはじめてあった。そのときに名前を褒められたのが、最初に胸が高鳴ったときだった。だがそれ以降、アドレスを交換してもメールをあまりせず、そしてまた視線を交わすものの話すこともなく一ヶ月がすぎていた。



リュウのことが気になって仕方がなくなったころ、リュウから突然、会ってくれないかというメールがきた。指定された場所はダーツバー。なぜかそこで告白されたのだ。ダーツをしてるリュウに近づくと、風音に気づいたリュウがじっとみつめてくる。首をかしげた風音に目を細めていきなりいったのだ。




「つきあってくれないか」



その目は意地悪そうに笑っていた。いきなりいわれた風音は身体が固まってしまい、動くことができなかった。それをいいことに、触れたことのない相手をリュウは抱きしめたのだ。男のにおいが鼻を掠めて風音の心をふるわせる。つきあった彼にされてもしなかったはじめての気もちよさに戸惑い、心臓が脈うった。



リュウは、そんな返事をしない風音を抱きしめたままの状態で、風音の肩にあごをのせてダーツをはじめていた。




風音はその時のことを思いだし、胸が熱くなっていくのを感じていた。

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