第9話

バスルームへ向かう背中を見送り、リュウはベットから足をおろすと冷蔵庫にむかった。汗をかいた足に、冷たい床は気もちよかった。麦茶のはいったペットボトルを取りだすとグラスに半分ほど注ぐ。氷をいれてベットにもどる。


少し経つとシャワーの音がやみ、布のこすれる音がかすかに聞こえた。




風音は、さっきとおなじ格好のままこちらを見つめていた。濡れた髪と、うるんだ瞳はいつもより魅力をましている。身体が熱いのだろう。息が乱れていた。



リュウは風音に近づくとグラスをわたし、窓へと足を進めた。フルムーンが見つめている。リュウは口元をゆるめ、風音をみた。これからこの女を抱くのだ。




月明かりが、リュウの牙を呼び起こす。

男は皆、狼なのだろう。



リュウはテーブルに置かれたグラスをもつと、その中にある氷をふたつ口にいれた。丈夫な歯でかみくだく。その音と姿を見ていた風音は、そのうつくしさに身体をふるわせた。

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