第9話
バスルームへ向かう背中を見送り、リュウはベットから足をおろすと冷蔵庫にむかった。汗をかいた足に、冷たい床は気もちよかった。麦茶のはいったペットボトルを取りだすとグラスに半分ほど注ぐ。氷をいれてベットにもどる。
少し経つとシャワーの音がやみ、布のこすれる音がかすかに聞こえた。
風音は、さっきとおなじ格好のままこちらを見つめていた。濡れた髪と、うるんだ瞳はいつもより魅力をましている。身体が熱いのだろう。息が乱れていた。
リュウは風音に近づくとグラスをわたし、窓へと足を進めた。フルムーンが見つめている。リュウは口元をゆるめ、風音をみた。これからこの女を抱くのだ。
月明かりが、リュウの牙を呼び起こす。
男は皆、狼なのだろう。
リュウはテーブルに置かれたグラスをもつと、その中にある氷をふたつ口にいれた。丈夫な歯でかみくだく。その音と姿を見ていた風音は、そのうつくしさに身体をふるわせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます