第2話

午後十八時、ある夏の日曜日のことだった。



その日も電車にのっていた。おれは、彰人とぼおっと突っ立って話をしていた気がする。おもしろくもない、ゲームの話だった。




ふと、左を見る。 


車両の端っこ、まっすぐまえを向いたあの子がいる。おれの目は、彼女をとらえていた。




「リュウ、あれ、風音ちゃんじゃないか」



おれの視線の先をみたアキトが、めずらしいものを見たような目でいった。視線をもどす。彼女はまだ同じ場所をむいていた。



「彼女をしってるのか」


「ああ、美人だよな。うちの学年でひそかに人気なんだ、あの子」



しらなかった。



「なんだ、気になるのか」



アキトがにやりと笑った。恥ずかしさから、ならないといった。




「ちょっと、話しかけてみようぜ。リュウもいくか」



気になる子に話しかけるのだ。スピーチするより緊張するだろう。まだ一度たりとも話したことがないのだ。迷っているおれに、アキトは笑いながらいう。

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