Cause(原因)


 No.6


 カフェで軽くお茶をした後、オレと森羅さんは白井キイの家に向かって歩みを進めていた。


「あ、森羅さん。あの家じゃないですか?」


 ここら辺で一番大きな庭付きの一軒家を指差すと、玄関から大学生くらいの男が現れた。何か考え事でもしているのだろうか、その表情は暗い。


「あれは……」


「森羅さん、知り合いですか……?」


「いや、知り合いではないんですが……細田さん、あの男性に対して、THE ANSWERを使ってもらえますか?」


「わ、分かりました」


 オレはこちらに向かって来る男性に向かって、『目の前の男性が入れ替わり現象の原因ですか?』と唱えた。


 そして、


 目の前に現れたのは金色に輝く100%の文字だった。


「……100%と出ました」


 つまり、あの男が、今回の入れ替わり事件の原因ということだ。


「……細田さん。、この入れ替わり現象が終わるか確認してください」


 森羅さんの想定外の指示に、心臓の鼓動が速くなる。


「消えたらって、それって……」


「……いいから。早く確認してください」


「……分かりました」


 オレは森羅さんの指示通り、頭の中で『目の前の男が消えた場合、今回の入れ替わり現象は終わりますか?』と唱えた。


「……100%と出ました」


「……そうですか。それじゃ、帰りましょうか」


 笑顔でそう言って、森羅さんは踵を返した。


「え? いいんですか、白井キイに会わなくて?」


「いいんですよ。原因は特定出来たんですから。それに、今のわたし達に出来ることはもうないですし。そんなことより、細田さん」


「な、なんですか?」


「わたし、この身体でしてみたいことがあるんです。少し、付き合ってもらえませんか?」


「勿論構いませんが、何をするつもりなんですか?」


「それは、ついてからのお楽しみです」


 そう言って、森羅さんはとても楽しそうに笑った。

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