想定外の死
(1)
ウイ君と最後に会ってから、今日で三日になる。
もしかして、私がウイ君の計画を邪魔したから怒っているのだろうか。
「…………」
いや、そうだとしても、あのウイ君が私からの連絡を完全に無視するとは考え難い。
「まさか……」
ウイ君の身に何か起きている?
心配で仕方なくなった私は、急いでウイ君の自宅に向かった。
そして、勢いのままインターフォンを何度も鳴らしたが、電話やチャットと同じく、反応は返って来なかった。
「仕方ない……」
玄関の電子ロックをハッキングし、扉を無理矢理開錠する。
「ウイ君! いるなら返事をして!」
リビングやキッチンを確認してから、一番奥に位置する彼の自室の扉を開ける。
「ウイ……君……?」
ベッドの上には、
真っ白な顔で眠るウイ君の姿があった。
急いで彼に近付き、口元に耳を近付ける。
「嘘……そんなはずは……」
呼吸をしていない。
脈もない。
身体も完全に冷え切っている。
つまり、それは、ウイ君が死んでいるということで。
「あり得ない……ウイ君が死ぬはずないのに……」
私は思わず、弾丸の埋め込まれた頭を抱えた。
だって。
だって、ラプラスは見せてくれたではないか。
私とウイ君が従弟の関係を超え、恋人になる未来を。
だから、私とウイ君が結ばれる前にウイ君が死ぬことは絶対にあり得ない。
ラプラスの不変性の力は、絶対なのだから。
「……そうよ。ラプラスの見せる未来は絶対……なら、ウイ君を助けられないはずがないわ」
オルニスで過去に跳び、ウイ君の死をなかったことにするしかない。
タイムパラドックスが起きようとも、成功するまで何度だって挑戦してやる。
だって、私はウイ君のことが好きだから。
1人の男性として、どうしようもなく愛しているから。
「……待っててね、ウイ君。必ず助けてあげるから」
過去を弄り、現在を変えるために。
私は冷たくなったウイ君の頬を一撫でしてから、その場を離れた。
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