最後の未来視
ステージⅢ ⑤
どうにかして、この世界を戻す方法を見付けないと。
だけど、キイさんはもう頼れない。この状態で頼れるのは自分だけだ。
そんなことを考えながら自宅に戻ると、ベッドの上に見たことのない小さな瓶と一枚のメモ書きが置いてあった。
「なんだこれ……?」
小さな便の中には、何やら薬のような赤いカプセルが一粒入っている。
そして、メモ書きには、
『世界が狂ったのはお前のせいだ。元通りにしたければ、未来を確定させた上で自死を選べ。K.S』
と書かれていた。
「…………」
誰の仕業かは分からないが、恐らく、このメモを残した人物は僕のラプラスを知っている。
知った上で、ラプラスによって僕の死を固定した上で、僕に自ら死ぬことを求めているのだろう。
「僕が死ねば、世界は戻る……」
そうすれば、皆の魂は元の身体に戻る。
勿論、勇人も。
そうすれば、僕等はまだ……まだ、なんだっけ……?
とにかく、僕が死ねば世界は元に戻り、全て丸く収まるわけだ。
オルニスで過去に行き、自らの救出を阻止しようとした今、今更死を恐れる理由はない。
どこの誰かも分からない人間の指示に従うのは癪だが、僕は僕のやれることをやるだけだ。
「…………」
僕はキッチンに行き、シェイカーにマルトデキストリンを50g投入し、それを一気に飲み干した。
決して変わることのない、確定した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます