運命の未来視


 ステージⅠ ③


 前回の実験から約2週間後の9月21日土曜日。


 僕は再び、キイさんの研究室を訪れていた。


「それじゃ、今日もお願いね」


「分かりました」


 僕はキイさんから手渡されたシェイカーの、黄色く染められた中身を一気に呷った。


 ステージ0 ①


 未来の僕は、最寄り駅に向かう交差点の前に立っていた。


 左腕につけたEXtENDで時間を確認する。表示されている日付は2059年8月13日月曜日、時刻は午後3時22分。


 時間を確認後、ハンカチで額の汗を拭い、カバンから取り出したペットボトルの緑茶を一飲する。


 目線を斜め上にずらし、信号機を確認する。車の通りは殆んどないが、まだ赤だ。


 それから暫くすると、信号機の色が青に変わった。


 ゆっくりとした足取りで、横断歩道を渡っていく――



 ――瞬間、左側から強い圧迫感が襲って来た。



「っ⁉」


 首を左に捻ると、大型トラックがこちらに向かって来ていた。


 自動運転の制御装置の故障か、それとも意図的な暴走か。あと少しで横断歩道だというのに、スピードが落ちる様子は微塵もない。


 対する僕の身体は、恐怖のあまり岩のように固まっていた。足に関しては、コンクリートの地面と一体化しているかのように微動だにしない。


 もう駄目だ。間に合わない。


 そう思った次の瞬間、僕のラプラスは未来の上映を終了した。

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