不審なチャット


 ステージⅠ ②


 ラプラスによる未来視終了後。


 目を覚ますと、EXtENDから映し出された空中ディスプレイを見て目を見開くキイさんの姿が目に入った。


「キイさん? どうかしましたか?」


「……え?」


 空中ディスプレイに向けられていたキイさんの視線が、僕に向けられる。


「ああ、なんでもないから気にしないで。ただ少し気になるチャットが届いただけだから」


 そう言うと、キイさんはEXtENDを操作し、空中ディスプレイを解除した。


「そう、ですか」


「そんなことより、ウイ君」


 僕に装着された装置を外しながら、キイさんは向日葵ひまわりのような笑顔を浮かべた。


「この後、お昼でも食べに行かない? 最近よく行くカレー屋さんがあるの」


 どこか違和感を覚えながらも、先程の未来視で既にこのやり取りを見ていた僕は、


「ええ、勿論」


 と言いながら立ち上がった。

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